介護職への転職は難しい?現状の採用率や有効求人倍率とは

2022-01-24 13:21:30

介護業界は慢性的な人手不足に陥っており、今後高齢者が増加する日本で介護職の需要は高まるでしょう。将来的に他業種から介護職への転職を考えている人もいるのではないでしょうか。

確かに介護業界は売り手市場ですが、未経験者がどこでも好きな施設に転職できるかといえば少し違います。

他業種から介護職へ転職を考えている人の参考になるように、本記事では介護職の離職率や採用率、離職理由や有効求人倍率を紹介します。

 

 

介護職員の離職率・採用率

介護職に対してどんなイメージを持っていますか?

「忙しくて休みが少ない」「3K(きつい、汚い、危険)」「給与が低い」など、介護職が一部ネガティブなイメージを持たれていることをご存知の方もいるでしょう。

実際にこうした事業所がないわけではありません。そこで介護業界へ転職する際には、離職率や採用率を知っておき、安定して長く働ける施設を見つけることが大切になります。

ここでは、介護職の離職率と採用率を紹介します。

 

離職率は低下傾向

介護職の離職率は、現在低下傾向にあります。

2020年度の全産業の離職率が14.2%であるのに対し、介護労働安定センターは介護職の離職率を14.9%と発表しており、大きな差はありません。

離職率が低下傾向にある要因として、給与面の改善が挙げられるでしょう。

介護職には給与が低いというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、介護職員処遇改善加算という国の施策によって給与面が改善されつつあります。また、職員が保有している資格に応じて支給される資格手当など、様々な手当を支給している施設が多いです。

給与が低いと求人を出しても人が集まりにくく、長期間その施設で働こうと考える人も減るでしょう。

未経験から介護業界へ転職を考えている人は、求人を見る際に、基本給に加えて介護職員処遇改善加算や資格手当などがいくら支給されるのか、業務内容と給与のバランスが取れているかをチェックすることをおすすめします。

 

採用人数が多い

介護業界は採用人数が多いのが特徴です。

採用人数が多い理由として、職員がいつ辞めても困らないように対策しているという背景があります。離職率は年々低下傾向にあるといっても、施設ごとに状況が異なるのが現実です。

介護業界への転職に伴い特に注意が必要なのが、「いつも求人を出している施設」です。

例えば基本給が高い水準で、介護職員処遇改善加算や資格手当も充実しているのに、いつも求人を出している施設があるとします。求人内容では特に悪いところがないように感じますが、離職率が高いため採用人数を多く設定している可能性が考えられます。

求人の内容がいかに良くても、施設内の人間関係が悪い、残業が多く帰る時間が遅くなるなど職員が長期間働けない理由が隠されている可能性もあるのです。

求人の内容だけで判断せず、慎重に転職先を選びましょう。

 

 

介護職の離職理由

年々離職率が低下している介護業界ですが、施設によっては離職率が改善されず、職員がすぐに辞めてしまうケースもあるようです。

離職率が高い施設には、どのような問題が隠されているのでしょうか。

介護職によくある離職理由を3つ紹介します。

 

1 不規則な勤務形態

介護職の不規則な勤務形態が合わずに離職する人もいます。

施設形態にもよりますが、介護職は日勤に加えて早番や遅番、夜勤など、不規則な勤務形態あるのが特徴です。生活リズムを作るのが難しく、なかには体調を崩してしまう人もいるでしょう。

また、結婚や出産をきっかけに不規則な勤務形態では、家事と仕事を両立できなくなり、仕事を辞めてしまう人もいます。

不規則な勤務形態が苦手な人や家庭の事情で働ける時間が限られている人は、夜勤がないデイサービスなどへの転職を考えてみてもいいでしょう。

 

2 労働に給料が見合わない

業務内容と給与のバランスが取れていないと、不満が生じがちです。

介護職は、身体介護など自分の体を酷使して働くこともあります。また、職員が少ない施設だと、一人ひとりの業務量も負担も増えるでしょう。

業務量や残業が多いとプライベートの時間を確保しづらく、給料が見合わないと感じ、離職してしまう人もいます。

 

3 人間関係

施設の人間関係が悪いと、離職率は高まります。

介護業界は年齢層が広く、20〜60代まで幅広い年代が働いている施設もあります。年齢や今までの業務歴による価値観の違いが、意見の食い違いを引き起こしてしまうこともあるでしょう。

お互いの意見を尊重する環境が醸成されておらず、職員同士がぶつかることが多いと、人間関係にストレスが生じ、離職につながってしまうでしょう。

 

 

有効求人倍率とは

介護業界は、人員不足によって売り手市場となっており、有効求人倍率も高い状態が続いています。しかし、いくら有効求人倍率が高くても、誰もが希望する施設に入社できるわけではありません。

有効求人倍率を知っておくことで、自分が希望する施設への転職の手助けになるでしょう。

介護職の有効求人倍率もチェックしておきましょう。

 

有効求人倍率は下がっている

有効求人倍率は求人数から求職者数を割った数値のことを指します。

介護業界の有効求人倍率は年々減少しています。

その背景には、新型コロナウイルスの影響により、求人数が減ったり、他業種から介護業界へ転職する人が増えたりしたことなどが挙げられるでしょう。

介護施設は倒産するリスクが低く、人手不足のため、他業種で働いていた人が新型コロナウイルスの影響をきっかけに、仕事を求めて転職するケースが増えています。

また給与面の改善などにより、離職率が減少し求人も減ったため、有効求人倍率が下がっています。

「有効求人倍率が高いからいつでも転職できる」と考えている人もいるかもしれませんが、時代背景や介護職の需要の高さによって、今後も有効求人倍率は下がる可能性が高いでしょう。

そうなると、自分の希望に沿った施設は見つけにくくなるかもしれません。長く働ける施設を巡り会うために、介護業界へ転職を考えている人は、定期的に有効求人倍率を確認することをおすすめします。

 

求職者よりも採用枠の方が多い

介護業界は求職者よりも、企業の採用枠の方が多いため有効求人倍率は高くなります。

例えば、求人を出している企業が5カ所、求職者が1人の場合、有効求人倍率は5になります。介護業界をはじめとする売り手市場の業界では、求職者によりも求人数が多いため有効求人倍率が1以上になる場合が多いです。

2020年9月の介護業界の有効求人倍率は、3.82なので求職者よりも求人の方が多いことがわかります。

完全な売り手市場と思われる介護業界ですが、離職率と同じように有効求人倍率も、年々下がっています。今後も給与面や職場環境の改善が進めば、更に有効求人倍率が下がる可能性も十分にありえるでしょう。

 

 

介護業界へ転職するには

ここまで、介護職の離職率や採用率、離職理由や有効求人倍率を紹介しました。

介護業界は給与面や職場環境の改善によって、離職率が年々減少傾向にあります。

一方、完全な売り手市場と思われている介護業界も、新型コロナウイルスの影響などで、有効求人倍率が下がり、将来的にどんな施設にも転職できるという状況ではなくなるでしょう。

介護業界未経験の人の中には、「自分の希望に合う施設は見つかるのかな」と不安に思う人もいるでしょう。転職に不安を感じる人は、紹介会社の利用をおすすめします。

紹介会社に自分の希望を伝えると、それに沿った求人を見つけてくれます。こだわりの条件で探してもらうことができるので、ミスマッチが起こりづらく、長く働ける環境を見つけられるかもしれませんよ。