どんな効果がある? 認知症の方も楽しめる介護レクリエーションとは
2020-06-10 16:26:39
2021-07-29 12:39:04
介護施設に入居する高齢者には持病を抱えている方も多く、服薬管理は介護士の重要な仕事の一つです。ここでは高齢者への服薬管理と服薬介助、管理上の注意点や流れについて解説します。
介護施設を利用している高齢者は、自立から要介護までさまざまな状態の方がいます。自分で薬が飲める場合でも物忘れによって飲み忘れをしたり、間違って同じ薬を複数飲んでしまうことがあるため、施設内では介護士が服薬管理を行い、自力で薬が飲めない方には服薬介助を行います。
介護士が行うことのできる服薬介助とは、薬を飲んでもらう際の介助行為を指します。薬をスムーズに飲み込めるように口の中へ水を含ませたり、薬を口の中に入れる行為は医療行為には当たらないため、介護士でも行うことができます。
高齢者の服薬管理では、薬の取り違えや飲み忘れをしないように注意します。服薬のタイミングも薬によって異なり、食前・食間・食後と症状が出たときにのみ服用する頓服などがあるため、用法と用量に注意してください。
薬を管理する際は、必ず相手の同意を得てから行うようにしましょう。強引に薬をまとめたり管理しようとすると、入所者のプライドを傷つけたり服薬管理を拒否されるおそれがあります。
高齢者への服薬管理では、1日あたりの服薬量を介護士自身が適切に把握しておかなければなりません。薬を仕分けるときは、取り違えや誤って別の薬を混入しないように注意しましょう。
なかには薬を飲んだことを忘れてしまい「まだ飲んでいない」と要求したり、服用自体を「必要ない」と言って嫌がるトラブルもあります。服薬忘れや服薬拒否は認知症の高齢者に多くみられ、症状が進行するほど指示が守れないおそれがあります。薬の役割について丁寧に説明したり、飲み忘れを防ぐアイテムを使うなどして対処しましょう。
服薬介助は、「誰がどうやって服薬管理を進めていくか」というケアプランを作成し、そのプラン通りに行います。薬剤を受け取ったあとは必ず服用前に仕分けを行いましょう。食前・食間・食後・頓服のどこに当てはまるかをチェックし、1日分の投薬をイメージしながら仕分けを進めます。
次に、薬剤の取り出し・水の準備・内服・内服確認・後片付けに分けて服薬介助を行います。薬を飲みたがらない高齢者には丁寧に説明を行うか、または小児用のシロップや食べものに混ぜるといった方法で対処してください。
車椅子やベッドを使っている方には、できるだけ身体を起こした状態で服薬を行ってもらいます。自力で身体を動かせない場合は頭を持ち上げたり、横向きにしたりして体位変換を行います。ただし、アゴが上がった状態は気管に水などが入りやすく誤嚥の危険があるため、薬と水を含ませたら少し顔を下に向けて飲み込んでもらいます。
注意したい薬が種類は「舌下剤」です。舌の下に錠剤を置いて唾液で溶かして体内に吸収する薬です。飲み込んだり噛み砕いたりしないように注意しましょう。また、液体の薬は容器の中身を軽く振って均質にしたうえで、少しずつ飲み下してもらいましょう。
スムーズに服薬介助を行うポイントは、効率化と見直しの2点です。1日分の薬を仕分けることができる容器「おくすりカレンダー」や、机に置いて使える「お薬管理箱」を使えば、飲み忘れや飲み間違いが防げます。いろいろな薬が混ざった状態で1日分を揃えるのは大変ですから、ツールを使って服薬を効率化すると良いでしょう。
薬の見直しについても、かかりつけの医師や薬剤師に投薬量を減らせないか相談したり、複数の効能が一つにまとまった薬剤に替えてもらうと、服薬時の負担が減らせます。介護施設での健康診断や、外部の病院の受診に付き添うときに見直しができるか相談をしてみてください。
認知機能が低下している高齢者の場合、何種類も薬が並んでいると混乱して、指示通りに服用できないケースがあります。記憶障害によって飲んだこと自体を忘れてしまう場合もあります。一度飲んだ薬を再度要求されたときは市販のサプリメントに置き換えたり、目で見てわかるようにおくすりカレンダーを提示しましょう(おくすりカレンダーを見せて「今日の分はもう飲みましたよ」と説明する)。
うまく服薬介助を行うポイントは、高齢者の負担を考えることです。粉の薬は飲みづらいので水を多めに用意する、苦い薬は苦くない薬に替えてもらうか食べものに混ぜる、貼付薬・軟膏・クリームなど飲み下す以外の手段を選ぶといった、さまざまな対処法を検討してください。
介護施設に入所する高齢者は認知症や複数の疾患を抱えている方が多く、使用する薬の種類・量ともに多くなるため、服薬管理には注意が必要です。視覚や手指の動作が不自由なケースもあり、飲み忘れ・飲み間違い・薬を取り出せないといったトラブルが起こりやすいので、高齢者一人ひとりに合わせた服薬管理・服薬介助をきちんと把握するようにしましょう。
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