どこまでできる? 介護福祉士が行える医療行為とは
2021-07-29 12:40:15
2021-08-03 23:06:16
「こんな悩みを感じているのは私だけなのだろうか」
さまざまな利用者宅に訪れてケアをしている訪問介護員(ホームヘルパー)には、特有の悩みを感じている人も多いでしょう。利用者と1対1の状態で介護にあたらないといけない場合も多いため、一人で悩みを抱えやすいという面もあります。
キャリアスマイルでは、訪問介護員で働いた経験のある方、現在働いている方にどのような悩みをもているのか、アンケート調査を実施しました。
よくある悩みについてみんながどう対処しているのか、その方法もご紹介します。
【アンケートの概要】
調査対象:全国20歳以上でサービス業を勤務先とする6939名に事前調査の上、訪問介護員として働いたことがあると答えた111名に本調査を実施
調査日:2020年12月10日~2020年12月27日
調査手法:インターネット調査
訪問介護員として働くなかで、悩みがあると答えた人は79.5%もいました。この方たちに、実際どのような悩みがあったか答えてもらった結果がこちらです。
1位は「利用者からの要望に関する悩み」で64.2%。2位とは20%ほどの差を付けての1位です。1対1のサービス提供となる訪問介護では、利用者からの要望を一手に引き受けなければいけません。また、介護保険の適用対象サービス内なのかどうか、医療の範囲に入ってしまわないかどうかなどで判断が難しい部分もあります。
実際「介護保険ではできない家具の移動や庭木の手入れなどを頼まれたので、できないと伝えたところ、担当を変えて欲しいと言われ、代わることとなった」という、経験をされた方がいました。利用者、もしくは利用者家族とのサービス内容のすり合わせがうまくできておらず、してもらって当たり前と思われているケースも多いようです。
続いて、悩みに対してどのような対処をしているのかも見てみましょう。
1位は「事業所の職員に相談した」の59.4%。半数以上の方が、何らかの悩みがあった際に事業所の職員に相談した経験があるということです。訪問者宅の現場では一人で対処しなければなりませんが、事業所に所属していれば、後で相談できる相手が誰かはいるはず。同じ仕事をしていれば、同じ悩みに遭遇することも多いもの。「ああ、そういうときはね……」「あの人はそういうところがあるから、こうしたらいいよ」とあっさり対処法を教えてくれるかもしれません。
続く2位「とにかく我慢した」38.7%、3位「ストレス発散を心がけた」31.1%は、悩みの根本解決にはなっていないように一見見えてしまいます。しかし、時間とともに解消される悩みもありますし、ストレスをうまくコントロールできる能力は、さまざまな利用者と接することになる介護職の人間として求められる資質だとも言えるかもしれません。
それでは、具体的にどんなときにどう対処すれば改善したのかという例を、いくつかケース別にご紹介しましょう。
「利用者から家政婦のように思われていた」という悩みを持った方は、「それはできないということを、サ責(サービス提供責任者)に言ってもらった」そうです。他にもやはりサ責に相談したという方が複数いました。自身で言って納得いただけないことも、改めて別の立場の人から言ってもらうと、利用者も冷静に受け止めてくれることがあります。
また、「利用者のしてほしいことと、ケアプランに沿ってしかできないことのギャップがありました」という方は、「勤務先の責任者からケアマネージャーに連絡してもらい、ケアプランの変更や介護度の変更ができた」とのことでした。利用者のためには、思い切って動いてみることも大切ですね。
「『笑顔が気に入らない』と利用者さんから言われたことがあります。これからどう接していいのかわからなくなり、『担当を変えましょうか?』と伝えると『いい笑顔ができるまで辞めさせないし口聞かない』と言われた」という方がいました。一見どうにもならないように思えますが、「私はこの笑顔で今まで色んな事を乗り越えてきたのだから負けるもんかと思い、一切変えませんでした。半年を超えたあたりから利用者様の態度が変わり今では仲良しです」と、自身のスタンスは変えず、長い時間をかけて利用者との関係性を築くことで乗り越えたそうです。
理不尽なことを言われたとき、自分の対応が悪かったせいだと責めたり、落ち込んだりし過ぎず、そう言われた背景、本当の理由を想像しながら接することは大事かもしれません。丁寧に接し続けることで関係性が徐々に改善されたという方は他にも見られました。
「利用者に対しての言葉がけについて、思うように伝わっているか、不快な気持ちにさせていないかと不安になる」という方は、介護関連だけでなく心理学の本も読んで勉強されたそうです。本ではなく、先輩に技術を教わったという方も。
「実際にはないが、もしも体内の酸素濃度が下がったり、呼吸停止したりなどの急変時の対応があったらとドキドキする」という方は、「急変時の対応を頭の中でシュミレーション」をして備えたそうです。
自分の技術に自信がない方は、知識を付ける、技術を見に付ける、そしてシミュレーションをして備えるという対処をきちんとされているようです。ただ、悩みを同僚話してみると、自分が至らないわけではなく、他のみんなも同じだとわかりほっとしたという方も多くいました。
中には、悩みを解消するために転職という選択肢をとった方もいます。訪問介護員のまま別の職場に移る方もいれば、訪問介護員をやめて施設介護員として転職した方、介護職ではない職種に転職された方もいます。
そうして実際に転職された方は、転職先にて悩みが解消されたのでしょうか。
「転職先では同じ悩みは発生しなかった」が52.4%で最多となっています。
例えば常に1対1でサービス提供しなければいけない状況が自分には合っていなかったのであれば、施設の介護員として転職し、スタッフたちと共同で介護にあたることで、同じような悩みは発生しづらくなるでしょう。せっかくヘルパーとしてがんばってきたのに、という気持ちもあるかもしれませんが、これまでに得た経験や技術は、他の職場でもきっと役に立つはずです。
訪問介護員として働くにあたって、どうしても悩みを持つことは多いかもしれません。しかし、「訪問介護員の仕事はやりがいがあったか」という質問には約7割の人が訪問介護員にやりがいがあると答えていて、やりがいがないと感じていた方は約1割程度でした。
このようにやりがいのある仕事ですから、今回紹介したような対処法も参考にしながら、上手に乗り越えていきたいものです。
ただ、悩みを抱えすぎてしまうと心身ともに疲弊し、働くこと自体をポジティブにとらえられなくなってしまう場合もあります。そうなる前に、思い切って休んでみたり、働く場所を変えてみたりする選択肢も検討してみましょう。キャリアスマイルでは、介護のお仕事探しをサポートしています。ぜひご利用ください。
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