介護士が押さえておきたい高齢者の服薬管理
2021-07-29 12:39:04
2021-07-29 12:40:15
介護のスペシャリストとして、要介護者のサポートをする介護福祉士。その仕事内容は食事や入浴、排泄の介助といった身体介助から生活の支援まで多岐に渡りますが、医療行為に関しては法律によって行える行為が細かく決められています。今回は、介護福祉士が介護の現場で対応することができる医療行為について、詳しく解説していきます。
食事や排泄、入浴などの身体介助から生活支援まで、介護を必要とする方に対して幅広いサポートをする介護職ですが、医療従事者ではないため医療行為については原則禁止されています。ところが、この「医療行為」という部分が非常に分かりにくく、実際の介護現場では医療行為に準じる働きが求められているケースもめずらしくありませんでした。
こうした曖昧な解釈によるトラブルを防ぐために、2005年に厚生労働省は「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」を示すことにより、一部の医療行為に関して介護職が行うことを認めました。
これまでの介護現場ではどこまでが医療行為で、どこからが医療行為でないのか明確な線引きがされていなかったため、医師や看護師が常駐していない介護現場では誰が医療行為を行うのかが問題になっていました。2005年に厚生労働省が示した「医師法第17条、歯科医師法第17条及び保健師助産師看護師法第31条の解釈について」によって、医療行為に当たらない「医療ケア」が明確になり、介護職員が対応することが認められるようになったのです。
では、具体的にどのような項目が「医療的ケア」に該当するのでしょうか。介護職員が対応できる医療的ケアは主に以下の通りです。
また、法律上は医療行為とされているものの、新たに規制対象外となったものは以下の通りです。
前述の通り、医療行為というのは原則として医療従事者にのみ認められたもので、介護職員が介護の現場で行うことは認められていませんでした。ところが、2012年4月に「社会福祉士及び介護福祉士法」の一部が改正されたことにより、定期的に痰を取り除く「喀痰吸引」と、体外から管を通して栄養や水分を投与する「経管栄養」という2つの医療行為については、介護福祉士の資格を有している人であれば対応できるようになりました。
ただし、介護福祉士がこれらの医療行為を行うためには以下の条件を満たしている必要があります。
血糖値の測定やインスリン注射、床ずれの処置、摘便、点滴の管理などは、実際に仕事をしていると要介護者やその家族に処置を求められる場合がありますが、介護福祉士の資格を持っていたとしても対応することは認められていません。たとえ技術的に処置することができたとしても、医療従事者以外が対応すると違法行為になってしまうので注意しましょう。これらの処置が必要となった場合には、医師や看護師と連携して対応することが大切です。
また、耳垢の除去や爪切り・爪やすり、歯ブラシや綿棒による口腔ケア、ストーマのパウチにたまった排泄物の処理、市販のディスポーザブルグリセリン浣腸器を用いた浣腸については規制の対象外となりましたが、要介護者の病状が不安定な場合や管理が必要な場合には「医療行為」とみなされるケースがあります。その場合に医療従事者以外が処置を行うと、違法行為となってしまうため、状態に不安がある場合は医師や看護師に指示を仰ぎましょう。
介護職員の仕事は多岐に渡りますが、その中でもどこまでの範囲が対応できるのかをきちんと把握し、その範囲のなかで利用者の支援をしていきましょう。
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