どんな効果がある? 認知症の方も楽しめる介護レクリエーションとは

2020-06-10 16:26:39

高齢者への介護では、音楽や体操などで認知機能の改善や向上を図る「介護レクリエーション」が行われます。ここでは介護レクリエーションで得られる効果と実際に行われているレクリエーション法、認知症の方にレクリエーションを行う際のポイントについて解説します。

介護レクリエーションとは

介護レクリエーションとは、介護を受けている高齢者の生活に楽しみや活力をもたらし、気分を向上させる活動です。人生の張り合いや自信を与え、他の入所者と一体感や達成感を生み出したりと、介護施設で健康に生活を続けるために必要な心身の機能訓練です。

介護レクリエーションにはどんな効果がある?

高齢者自身がレクリエーションを通して自分の身体を使うことで「こんなに動けた」「こんなことができた」と満足し、やる気があふれ継続的なレクリエーションへの参加に繋がります。また、他の入所者と喜びや達成感を分かち合うことで相乗効果をもたらし、生活の質の向上にも繋がります。

レクリエーションは生活に楽しみをもたらし、高齢者たちの気分を向上させます。限られた時間の中で達成できたことがそのままやりがいや自信に繋がるので、老化の防止や認知機能の低下を予防するのにも役立ちます。

介護レクリエーションには身体機能の向上や改善効果以外に、心身をリラックスさせて気持ちを高めます。年齢を重ねるにつれて衰えていく肉体の機能を維持するためにも、常日頃から簡単な柔軟体操や五感への刺激は欠かせません。

気持ちが明るくなれば介護施設での生活が単調になりにくく、生活に張り合いが生まれやすくなります。高齢者は年齢とともに衰えていく自分自身に落ち込んでしまうことがありますが、高齢を理由に閉じこもってしまうのではなく、介護レクリエーションによってさらにイキイキとした生活力を身につけられるようになります。

普段から楽しくレクリエーションを進めていけば、運動や歌などの活動以外にもさまざまなところでレクリエーションの機会を求めようという気持ちが生まれます。若い頃を思い返したり、特技や趣味を活かした活動を通じて、全身から心地よい刺激が得られるようになります。身体は適度に動かさなければどんどん衰えてしまいますから、定期的なレクリエーションは高齢者にとって非常に大切な活動となります。

介護レクリエーションの3つの分類

介護レクリエーションには3種類あり、それぞれを組み合わせたり状況に合わせて最適な方法を選択します。

集団レクリエーション

集団レクリエーションはグループ全体で同じレクリエーションを行い、入居者同士での交流を活性化させたり、意思疎通を図ったりする方法です。介護施設では毎日午後に体操や軽い手遊び、歌などが行われますが、誕生会や季節の行事、楽器の演奏会といったイベントも行われます。

個別レクリエーション

個別レクリエーションは入居者一人ひとりの趣味や要介護度の違いを考慮して行われる活動です。絵画や工芸などの余暇活動のほか、計算や脳トレなどのプログラムが組まれることもあります。

基礎生活レクリエーション

基礎生活レクリエーションは日常生活の中で無理なくトレーニングを行い、心地よく感じる瞬間を重ねていくレクリエーションです。具体的には食事の時間に昔の番組や映像を見る、入浴や散歩の時間に音楽を流す(聴く)といった五感を使う方法のほかに、絵や花など感覚に訴える手段を取り入れる工夫も基礎生活レクリエーションとして取り入れられています。

認知症の利用者に介護レクリエーションを行うときのポイント

認知症の利用者に介護レクリエーションを行うときは、利用者ごとの認知機能に配慮したレクリエーションを設定しなければなりません。軽度の方は説明や指示が聞けますが、症状が進んでくるとレクリエーションについていけず苦痛に感じられることがあります。

認知症のほかに身体機能も低下している場合は、大きな動作が難しく感じられるためレクリエーション自体を避けてしまうおそれがあります。心身に負担がかからないようなレクリエーションを計画し、強制的に参加はさせないよう利用者一人ひとりへの配慮を心掛けましょう。

運動が難しい方には耳や目から取り入れる刺激が効果的です。認知症を抱えていても若い頃に見聞きした内容を覚えており、懐かしく思い出せることがあるため、歌謡曲を流したり楽器を演奏したりといった記憶の活性化に繋がるレクリエーションを企画するのもよいでしょう。

 

レクリエーションは誰でも気軽に日常生活に取り入れられる「基礎生活レクリエーション」から、個々あるいは集団で行うレクリエーションまでさまざまなやり方があります。介護施設では入居者の趣向や健康状態を考えてレクリエーションが計画されますが、いずれも「生きがい」に繋がるものであることが重要です。ぜひ上記を参考にして、適切なレクリエーションプログラムを実施しましょう。