日常生活のケアからリスクマネジメントまで。介護技術の事例を紹介

2022-04-20 16:53:43

介護職として働いていくうえで、介護技術の基本事例を知ることは大切です。

初めて介護職として働く人や、新しい職場に転職する人の中には、「現場でどんなことが起きるだろう」と不安に感じる人もいるのではないでしょうか。

本記事では、介護技術の基本的な考え方や利用者目線の介護技術の事例、介護職のリスクマネジメントの事例などを紹介します。

 

 

介護技術の基本とは

介護技術の基本的な考え方として「利用者目線に立って自立を促すためのものである」ということは、決して忘れないようにしましょう。

また介助を行ううえでは、安全で危険が少ないことも重要です。

効率よくできる介助方法があったとしても、利用者が怪我をするリスクがあるのなら避けるべきです。

しかし中には、仕事を早く終わらせたいからと、スピードや効率だけを意識して介護している介護職もいます。

それで利用者に不利益が生じなければ問題ありませんが、スピードと効率だけを求めると、介助の質が下がり、利用者の安全が損なわれ、事故につながることもあります。

介護を提供する際は、「自分だったらどんな介助をしてもらいたいか」「このやり方で相手は気持ち良いだろうか」を考えたうえで支援を行いましょう。

 

 

利用者目線の介護技術の事例

ここからは、利用者目線の介護技術とはどのようなものかを紹介します。

具体的な介助方法を理解して、介護の仕事に活かしてくださいね。

 

食事介助の事例

食事介助では、利用者が安全に食べられるペースで食事を提供することが何より大切です。

利用者の口腔内をしっかりと確認し食べ物がないことを確認してから、続きの食事を提供するようにしましょう。

食事介助が必要な利用者は、嚥下機能が低下している場合が多く、むせこみを起こしやすくなっています。口腔内に食べ物が残っている状態で、次の食事の提供をすると、誤嚥を起こすリスクが高まります。

 

排泄介助の事例

排泄介助では、利用者のプライバシーがしっかり守られるように意識しましょう。

排泄の場面を他人から見られるのは、誰もが恥ずかしいと感じるものです。排泄介助する際は、一度周りの状況を確認し利用者のプライバシーが守られているか確認しましょう。

排泄介助は利用者の居室などで行う場面が多いため、プライバシーが守られていると油断しがちですが、居室の扉を閉め忘れるなど、介護職の不注意により利用者のプライバシーを侵害してしまう可能性もあります。

 

入浴介助の事例

異性の介護職から入浴介助を受けるのを嫌がる利用者もいます。

同性の介護職が入浴介助を担当している介護施設は多いですが、中にはそうでない介護施設もあります。

そのような場合でも、利用者が異性からの支援を嫌だと申し出たときには、同性の職員が入浴介助にあたれるように工夫しましょう。

 

移動介助の事例

移動介助は、無理のない人数で行うことが重要です。

移動介助では、利用者の体重を支えなければならないため、介護職の体に大きな負担がかかります。体格差の大きい利用者を一人で移動させようとすると、事故につながる可能性も大きくなるでしょう。

特に女性介護職が男性利用者を移動介助する場合は、より注意が必要です。もし一人で移動できないと感じた場合は、無理に介助を行わず、他の職員にヘルプを求めて安全に移動できるようにしてください。

 

体位変換の事例

体位交換を定期的に行うことが、利用者の体の負担を軽減することにつながります。

同じ体勢で長時間過ごしていると、体の1ヵ所に圧がかかり続けてしまい、褥瘡を作ってしまいます。

介護を必要としている利用者は、自分の意思で寝返りを打てない人も多いもの。利用者が楽な体勢で過ごせるように、介護職がしっかりと意識して体位変換を行いましょう。

 

 

介護職のリスクマネジメントの事例

ここからは介護職のリスクマネジメントの具体的な方法を紹介します。

リスクマネジメントは介護技術の一部として身につけたおくべきスキルで、習得していると現場での事故を減少させることもできます。

 

事故予防

介護の現場は事故と隣り合わせです。起こりがちな事故の事例を知り、しっかりと予防策を講じておきましょう。

■ 転倒・転落の予防

転倒や転落を防止するには、利用者の日常生活動作(ADL)への理解と生活環境の整備が必要です。

介護が必要な利用者は、いくら自力で歩けていても転倒のリスクがあるものです。例えば、職員が後ろから「〇〇さん」と声をかけた時に、つい足をとられて転倒することが考えられます。

また、段差など躓きやすい場所や障がい物になる物が家の中にあると、転倒する可能性は高まります。特に階段はバランスを崩しやすく、転落にもつながる危険があります。

利用者の日常生活動作(ADL)を職員間で共有し、躓きやすい場所や物をできるだけ取り除くなど、生活環境を整備することで、転倒や転落を予防しましょう。

 

■ 誤嚥・誤薬の予防

誤嚥や誤薬を防止するためには、落ち着いて服薬介助をすること、薬を提供する前に本人の薬なのか2人以上で確認がすることが重要です。

介護職は日常業務に追われ、バタバタしていることも少なくありません。しかし焦ったまま服薬介助を行うと、誤嚥や誤薬につながってしまいます。

誤嚥は利用者の健康を損なう危険があるため、どんなに忙しい状況でも服薬介助時は落ち着いて取り組むようにしましょう。

また、本人の薬で間違いないかを職員2人で確認することで、誤薬を防止することができます。

 

■ 溺水の予防

利用者の溺水を予防するために、介助中は利用者から目を離さず、体に合った用具の使用を行いましょう。

介護職はライナーリフトなどの器具を使って入浴介助をすることが多いですが、利用者が浴槽に浸かったあと、安心してつい目を離さないようにしましょう。体勢の崩れやのぼせが原因で、溺水してしまう可能性があります。

利用者の中には、自分の意思で体勢を変えられない人もいるため、常に利用者を視界の中に入れるようにしましょう。

 

クレーム対応

続いてクレーム対応について見ていきましょう。

■ 紛失時の対応

利用者の私物を紛失してしまいクレームを受けた場合、まずは職員で施設内を捜索しましょう。

介護施設は多くの利用者が生活を送っている場所なので、物が失くなる可能性もゼロではありません。利用者が使っていた部屋からよく生活していた場所など、思いつくところを隅々まで探しましょう。

それでも見つからなかった場合は、まずは謝罪をして、代替の物を用意するなどの方法をとるのが最善です。

代わりに何かを用意することも大切ですが、謝罪をしたり施設内を捜索するなどの誠実な姿勢が、もっとも重要です。

 

■ 破損時の対応

利用者宅の物などを破損させ、クレームを受けた場合は、より誠実な態度で謝罪しましょう。

介助中に利用者宅の壁を誤って壊してしまったなど、介護の現場では物を破損させてしまうことがあります。破損させてしまった職員はもちろん、上司を含めての謝罪が求められます。

また、今後どのような対策をして同じようなミスが起きないようにするのかという具体的な改善策を相手に伝えると同時に、職員内で共有することも重要です。

 

 

まとめ

ここまで、介護技術の基本的な考え方や利用者目線の介護技術の事例、介護職のリスクマネジメントの事例などを紹介しました。

「どんな介助をされたら嬉しいかな」「どんな方法が最善かな」など、介護は常に利用者目線に立ち仕事を行う必要があります。

介護技術の事例やリスクマネジメントの事例を知ることで、現場の仕事に役立ててくださいね。