介護職が知っておきたい、在宅介護サービスにありがちなトラブルと対処法
2022-02-09 16:20:00
2022-02-15 17:05:17
介護職は、在宅で介護している要介護者の家族と接する機会が多い仕事です。
家族介護者の中には、介護にまつわる様々な悩みを抱えている人もいます。介護職は、利用者のみならず、家族介護者の悩みに寄り添う必要があるでしょう。
この記事では、家族介護者が抱えやすい悩みの内容や、介護疲れやストレスを軽減する方法などを紹介します。
家族介護者は休みなく続く介護の日々で、悩みや疲れ、ストレスを抱えがちです。
具体的にどのようなことが家族介護者の負担になっているのかを知っておきましょう。
家族介護者は、毎日の介護で肉体的な負担を感じやすいものです。
要介護者の状態によって行う介護の内容は異なりますが、更衣介助や起床介助、食事介助、入浴介助、排泄介助、体位交換、移乗などは、肉体的に大きな負担を伴います。
要介護者の体を何度も抱えたり、支えたりしていると、腰や膝に負荷がかかります。
介護サービスを利用していない場合、通院や散歩なども家族介護者が行うことになるため、より肉体的な負担は大きくなるでしょう。
介護の期間が長引くほど、家族介護の疲労度は増していくことが考えられます。
家族を介護する生活を送る中で、精神的な負担を感じる方もいます。
介護者は日々の暮らしの中で、要介護者をはじめ、介護職や地域住民など多くの人と関わります。
日常の介護に追われながら、人間関係も築いていくとなると、精神的に余裕がなくなることもあります。
また、自分が相手のことを思って介護をしているのに、相手にうまく気持ちが伝わらいないと、「なんでわかってくれないの?」と要介護者へストレスを感じてしまうこともあるでしょう。
まわりの家族が介護に協力的ではない場合、「自分だけに負担がかかっている」という気持ちから、精神的に参ってしまうケースもあります。
家族に要介護者がいると、生活に必要なお金は増えるものです。
おむつや防水シーツなどの介護用品は高額なので、家計の負担に感じる方もいるでしょう。
なかには、介護用品を購入するために、自分の衣類や嗜好品を我慢しなければならなくなる人もいるかもしれません。
また、介護と仕事を両立することが難しくなった場合、介護離職する人もいるため、収入がなくなり、貯金を切り崩して生活したり、要介護者の年金に頼った生活を送ったりする人もいます。
このような金銭的な負担から、強いストレスを感じてしまう家族介護者もいるでしょう。
家族介護者が毎日の介護で抱えがちな悩みについて紹介しました。
このような悩みの元になる負担を軽減できると、介護疲れやストレスも緩和できるものです。
介護のプロとして家族介護者に必要なアドバイスをできるよう、介護疲れやストレスを軽減する方法を確認しておきましょう。
介護を始めたばかりの家族には、介護保険適用のサービスがあることを伝えましょう。
家族介護者が自分らしく生きるためには、介護から離れてリフレッシュする時間も必要です。
訪問介護やデイサービスを利用すると、要介護者の食事や入浴のサポートなどを介護職が行ってくれるため、肉体的な負担が減り、自分の時間も確保できるようになります。
1日の中でどの部分の介護を任せたいのかを明確にすると、利用すべきサービスも見えてくるでしょう。
家族介護者の肉体的・精神的な負担が少しでも減るように、介護保険適用のサービスはぜひ活用したいですね。
介護保険適用のサービスを利用するだけではストレスや疲れを軽減できない場合、介護保険適用外のサービスを利用する方法もあります。
例えば、要介護者のみならず家族分の食事も作ってくれるサービスなど、介護保険適用外のサービスをうまく活用することで、家族介護者がリフレッシュできることもあります。
しかし、全額自己負担になるので、利用料金を確認し無理のない範囲での利用がおすすめです。
レスパイトケアとは、家族介護者が一時的に介護から離れて息抜きできるように、公的サービスなどを利用することを意味します。
レスパイトケアで利用できるのは、主にデイサービスとショートステイです。
デイサービスは日中の介護を、ショートステイは短期間の介護を施設に任せることができるサービスです。
要介護者がこのような施設を利用している間に、家族介護者は体を休めたり好きなことをしてリフレッシュできます。
介護職同様、家族介護者も介護の知識とスキルを身につけることで、介護の負担を軽減できる場合があります。
介護をはじめたばかりの頃は、上手く介護をできないことが多いものです。
しかし、介護の知識やスキルを身につけることで、介護に要する体への負担や介護にかける時間を短縮することができるようになります。
介護は毎日行うことなので、オンライン動画を観たり、講習会に参加したりするなどし、積極的に介護手法を学ぶと良いでしょう。
介護の悩みを共有できる、介護者コミュニティへの参加もおすすめです。
介護の経験のない人に介護にまつわる悩みを話したり相談をしたりしても、共感が得られず、ストレスを感じてしまうことはあるものです。
介護者のコミュニティに参加することで、似たような悩みを抱えている人と交流を持て、悩みを打ち明けられることもあります。
ストレスを溜め込まないためにも、介護者のコミュニティへの参加は効果的です。
様々な悩みを抱えている家族介護者に対して、介護職はどのようなケアができるのでしょうか。
ここでは、介護職が家族介護者のためにできるケアを2つ紹介します。
介護職は、家族介護者の相談に積極的にのりましょう。
家族介護者の中には「相談できる相手がいない」ことに悩んでいる人もいます。
相談に対して明確な答えを提示できなくても、「話を聞いてもらいたい」と思っている人もいるため、話を聞くことだけでも家族介護者の力になることができます。
家族介護者に対して様々な選択肢を示すことは、介護のプロである介護職だからできることです。
家族介護者の中には、「頼るところがない」「私が何とかしないといけない」と抱え込んでしまっている人もいます。
しかし、一人で介護するには限界があります。
介護サービスについて知らない人もいるので、介護保険適用のサービスから適用外のサービスまで、多様な介護サービスがあることを伝え、適切なサービスを利用できるようアドバイスしましょう。
介護によって悩みやストレスを感じるのは家族介護者だけではありません。
介護職は心身ともに負荷がかかる仕事なので、ストレスを溜めてしまう人も多いです。
例えば、介護施設の中には、職員数が少なく、やることが膨大にあり、定時退勤ができず毎日のように残業が必要な職場もあります。業務量が多く毎日のように残業していると、プライベートの時間を確保することも難しくなるでしょう。
悩みやストレスが一時的なもので、すぐに解消できるのなら問題ありません。しかし、解消できないと思う場合は、長く介護の仕事に携わっていくためにも、転職を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
転職活動をすることで、自分に合う施設と巡り合う可能性も生まれます。自分がストレスを抱えることなく、快適に介護の仕事に取り組める環境を探しましょう。
ここまで、家族介護者が抱えやすい悩みの内容や、介護疲れやストレスを軽減する方法などを紹介しました。
家族介護者が無理なく介護を続けていく上では、様々なサービスを活用することが大切です。しかし家族介護者は、介護の知識を持っている人ばかりではありません。
そんな家族介護者に寄り添い、介護負担を少しでも軽減できるよう、介護のプロとして適切な選択肢を提示してあげてくださいね。