介護を受ける側が感じるストレスとは?利用者とのすれ違いをなくすために
2021-10-27 13:19:28
2021-11-11 17:16:47
介護現場において欠かせない存在とも言える「介護リーダー」。しかし、業務のバリエーションは多岐に渡るため、さまざまな悩みがあるかもしれません。
今回はそんな介護リーダーにおける代表的なお悩みとその解決方法、少しづつ出来る組織体質の改善策までご紹介していきます。
一般的に介護リーダーとは介護主任と呼ばれる役職です。現場業務に加えて、人員配置やシフトの調整、現場職員と管理者とのパイプ役などを任されることが多いです。
現場の業務以外に職員の配置や職員のマネジメントなどがあるため、これまでとは違った能力を求められるようになり、そのぶん施設において重要なポジションであると言えるでしょう。
あくまで一例にはなりますが、介護リーダーの主な業務の一例です。
・介護職員の勤務管理やシフト作成
・研修などの企画、それに伴う資料作成など
・職場や介護現場における環境の整備
・スタッフの教育、育成
・利用者のリスク管理やサービス内容の全体的な見直しマネジメント
・行事の企画や運営
・緊急時対応やスタッフへの支持
・新規利用者との面談、ご家族との連絡調整
・他職種や他部署との連絡連携
・介護記録など記録物の管理
・施設内の物品管理
介護リーダーもユニットリーダーも、介護現場においてよく聞くことばではありますが、
どのような違いがあるのでしょうか?
介護リーダーとは上記でも触れた通り、通常の介護業務に加え、利用者が安心して過ごせる環境・職員が安心して働ける環境整備が主な仕事と言えるでしょう。介護リーダーの配置については法令などでは定められておらず、各施設の裁量に任せられています。
一方ユニットリーダーとは、厚生省令(平成十一年厚生省令第三十九号 指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準)によって「ユニットごとに、常勤のユニットリーダーを配置すること」と定められており、配置が義務付けられています。
ユニットリーダーとは、大勢いる利用者を10名程度の少人数のユニットに分け、各ユニットの専任スタッフをまとめていく立場です。入居者一人ひとりが安心して適切なサービスを受けられるよう調整するのがユニットリーダーには重要な役割になります。
現場のメンバーと仕事を共にするポジションだからこそ、職員個々人の特性や得意不得意を知ろうとし続けることは重要です。自身の感覚のみで特性や得意不得意を見極めるのではなく、共に仕事をしたり、他のメンバー、利用者に話を聞きながら様々な目線で知ろうとすることが大切です。
介護リーダーを勤める上で、もっとも必要なスキルとも言えます。
職員・管理者・利用者全ての声を集約し、もっとも良いと思える方向に施設を導くキーマンと言って良い存在です。
関係者と日頃からコミュニケーションを取り、しっかり利用者・職員の声を集約し、管理者へ改善などが必要な点などを伝え、環境をより良い方向へ改善することが求められます。
利用者・職員の声を集約することも大切ですが、自らが感じた日々の業務の中で必要と思う改善や修正点の発信も当然必要です。他リーダーなどとの相談などを細やかに行い、改善や効率化を図ることが大切です。
当然リーダーと名前が付く役職ですので、人をまとめる力が求められます。介護職員の統括として何事もうやむやにせず、職員の声をしっかり考え、消化することが大切です。
「この人の下で働きたい」と思ってもらうことが、人間関係において自らの職場環境を良いものに保持するとも言えます。
指導する場面では論理立てて、理解してもらえるまでしっかり説明する。問題があればきちんと管理者に問題と申し立て、解決するまで責任も持って携わるなど、最初から最後まできちんと関わることを面倒と思わずやり切ることが必要です。
ただリーダーシップの形に正解はなく、自分自身に合うスタイルを見つけることも大切です。
介護現場は、人の命を預かる職業であり、非常に高度な技術と知識が求められます。
また、マニュアル通りにいかないケースやイレギュラーな場面に対面することも度々ある職種です。そういった場面でも冷静さを保ち的確な指示を職員に出すなどをするためには、経験値と知識が必要となります。
また、日々利用者さんの動向や様子の変化を見逃さないようにする洞察力も経験や知識から生まれてくるものです。
心理的安全性が高いチームとは、いい仕事をするために率直に意見を言い合えるチームが心理的安全性が高いチームです。逆に低いチームは、罰や不安が蔓延している状態のチームを指します。
介護の現場では、人の命を預かる以上、上長や同僚に対して伝えるべきことが伝えられないと、良いサービスを提供するのは難しい。上下関係を鑑みることなく、ミスを事前に共有して、検証をできる、日頃から感じたことを評価を気にすることなく発信できる。そんなチームをつくっていくことが大切です。
介護現場というのは、業務量に対してなかなかマンパワーが追いつかない事業所も少なくありません。特に現場でのケアも行う介護リーダー職は多忙になりがちです。
介護リーダーとしての責任を持つことは重要ですが、業務を一人で抱え込むことは避けなければいけません。
自ら最優先させる業務は介護リーダー特有の仕事にし、現場運用やその他庶務など、一般職員などと共有出来るものは共有し、業務分散化することで、すべての業務が円滑に回ることに繋がります。
上司から出た要望や、部下から出た要望を双方にコンセンサスを取るには時間がかかったり、なかなか合意にいたらなかったりと煩雑なことが多いです。
要望や悩みには、言葉に出して説明している部分の深層部にある「なぜ」を探ることが、問題の根本や思いに近づくことが出来ます。
たとえば部下から「管理者の中に高圧的な態度を取られて怖い」という意見が出るとしましょう。
高圧的な態度というのは具体的にどのような態度のことを指しているのか。何をしているときにそう感じたのか。そのようなことをヒヤリングしていくうちに、それは誤解ではなかったのか?などの紐解きが可能になってきます。
誤解ではないとしたら、その高圧的な態度を取ったとされる管理者はそのような意図が本当にあったのか、意図があったとしたら何故そのような態度を取ったのか。それにどんな意味を込めていたのか。
じっくり時間をかけてお互いの意見をヒヤリングしていくことで、双方の意見の折衷案が見いだすことが出来ると思います。
責任者の立場でもある介護リーダーは、利用者や家族からの苦情も正面から受けなければなりません。
サービスを提供する組織ですので、クレームや苦情が発生するのは避けられないことでもあります。
苦情を受けたとしても一人で抱え込まず、苦情の発信者には「組織として改善に向けて解決していく」という姿勢を見せ、組織全体で共有し問題解決を図ることで、自分ひとりのことから組織のことに考え方を変え、ストレス軽減に繋がります。
介護現場に限らず、様々なキャリア形成が自由に図られるいま年上部下・年下上司というのは不思議な話ではありませんが、やはりやりづらい雰囲気を感じるのは無理もありません。
ですが、仕事上の関係は年齢ではなくポジションに順ずることを忘れてはいけません。「自らは認められた上長である」というスタンスと認識を崩さず、日頃の会話などでは年下としてのリスペクトを持つことも必要ですが、自らが上長でもあるという意識をしっかり持つことが大切です。
介護リーダーにおいて、ストレスケアというのは非常に大切です。一般職にも必要なことですが、リーダーである人間がストレスで潰されそうになっていては組織全体に連鎖することもあります。
「〇〇さんは決められた業務をマニュアル通りにしない」という問題があるとします。
その決められた業務をマニュアル通りにしないことでなにが起こっているのか書き出してみることがおすすめです。
書き出し例:
・他の職員もマニュアルから外れたオペレーションになっている
・マニュアル通りにしないことで自分や他の人がカバーに回っている
・利用者からクレームが出て自分が叱責される
これらを適切に把握することで、派生ストレスは根源を解決することで抑えることが出来るということが分かり、対処する方法が見えてくるかもしれません。
相談相手というのは日々のストレス軽減において非常に大切です。家族などに相談するケースもありますが、実際の業務を理解していない人に説明するのが難しい場合もあるでしょう。
その場合は、同じ職種で違う職場の人とつながれるコミュニティに入ったり、同じ職場ではあるが違う部署にいる人に出会ったりするなど、相談できる場所や存在をつくることがおすすすめです。
上長からの声を直に受け、日々の仕事を評価してもらうことも実はストレス軽減につながることもあります。
自分では自信がなかった仕事において、十分に評価されていること、逆に自分では出来ていると感じていた業務が、いまひとつといったことなど自分の仕事を客観的な声を受けることで、自らの自信の向上に繋がったり、見落としていた足りない部分の補強が出来たりします。
評価制度や、上長面談などの環境がない場合には是非とも提案してみてください。最初は少し煩わしいですが、目標設定と評価は職員のモチベーション向上とビジョンの共有につながります。
どんな業務やポジションでも、人間が動かしている以上はミスは必ず発生します。ミスや叱責により、ショックを受けたり落ち込んだりというのは人間の自然な反応ですが、その感情を自分の中で増大化させてしまうと、その後の業務効率にも影響してしまいます。
実際に上長からは「以後気をつけるように」としか言われてなかったとしても、「自分は仕事の出来ない人間だ、向いていないかもしれない」など自分の中で勝手にミスを増大化させてしまうことがあります。
ミスを振り返るのは大切なことですが、その後の仕事のパフォーマンスに響いてしまっては振り返りではなく、ただただ後悔していることになります。
このような状況になる前に、「まずは目の前の仕事に目を向ける」「頼れる存在に状況を説明し意見を求める」など、先ずは自分の置かれた状況を客観視し自らのストレスを軽減縮小することで、業務効率を落とすことを防ぐことが出来ます。
介護リーダーとは上記で説明したようなストレスや悩みはつきものです。
しかし、悩みの根源を一つ一つ社内全体で共有することで解決することもリーダーとしての実績であり、会社の財産であります。自分では重責なのではないか、自分には向かないのではないか、という思いは管理者という立場柄、抱えがちな思いでもありますが、上長やときには部下からも評価を求め、自らの長所と短所をしっかりと理解した上で、マネジメントすることも大切です。
また、そのような関係値を積み上げていくのも、ひとえに日頃のコミュニケーションが重要となります。他愛もない会話から、定期的な会議で全体的なコミュニケーションを取るなど、上下だけでなく、横のコミュニケーションをつなぐのもより良い職場環境への第一歩です。
職場環境を大切に思うことで、部下や上司からの信頼も厚くなり、いづれ自分の働きやすさにつながることとなります。
組織全体が働きやすい環境を自らの手で作り上げていきましょう。