介護職の人間関係で悩んだときに見直したいポイントと改善策
2020-03-06 16:13:00
2020-06-10 16:19:10
介護士が高齢者に対して行うケアのなかでも、1日に3回の食事介助は特に慎重に行わなければならないものです。ここでは、高齢者への食事介助の方法と注意点について解説します。
高齢者への食事介助では、食べものを口に入れて咀嚼し、きちんと飲み込むまでのプロセスを手助けします。
スムーズな飲食を助けるには、食事中の正しいポジションを意識しましょう。車椅子・リクライニング車椅子・ベッドを使用中の場合は、身体が安定するように機器の向きや角度を整えたうえで、首が斜めになったり前かがみになりすぎないように、きれいな姿勢を取ってもらいます。
高齢者は加齢や口の中のトラブル(歯周病や入れ歯など)によって噛む力が衰えているため、咀嚼がきちんとできないことがあり、その場合、食べものを飲み込むことで窒息や吐き戻しなどのトラブルに繋がります。食べものは一度に口に運ばず、必ず食べやすい大きさに分けてから口に入れるようにしましょう。前もって噛み砕きやすいサイズに食べものを切り分けておくとスムーズです。
嚥下(飲み下し)についても同様に、加齢などが原因で唾液の量が少なくなり飲み込みに支障をきたす方も多いため、一度に多くの食べものを口に入れないように注意します。1回スプーンを口に運んだら、きちんと味わって咀嚼しているかをチェックし、きれいに飲み込めたかを確認してください。
食事介助を行う前に、まず食事ができるように排泄を行っておきましょう。食事の途中でトイレに行くことになると、一度食事を中断してその場を離れなければならないので、移動や介助の手間を挟んでしまいます。また、食事前に室内のポータブルトイレを利用する場合、室内に臭いが残るため換気や消毒を行ってから食事に入ってください。
嚥下障害のある方は、口の中に汚れが溜まっていると細菌が気管に入り込んで誤嚥を起こすおそれがあります。ですから、食事の前にはうがい・歯みがきを行って清潔にしておくことも重要です。舌にも「舌苔」と呼ばれる汚れが付いているので、軽いブラッシングで取り除くと味を感じやすくなり、唾液が分泌されます。
次に、高齢者だけではなく介護士自身も手を洗って清潔にしてから食事に入りましょう。新型コロナウィルスをはじめとするウイルスの感染を防止するためです。
認知の症状がある方は手で食べものを触ってしまう可能性があるので、いつでも手が拭けるようにウェットティッシュや濡れタオルを準備してください。テーブルや椅子など手で触れる場所もウイルスが付着しているため、事前に拭き取って消毒をしてください。
食事の際は、姿勢を整え、椅子やテーブルと身体の位置を合わせましょう。肺炎の原因になる誤嚥を避けるためにも、気管に入らないように腰やお腹に力を入れやすい姿勢を取れるようにします。目の前の食事に集中できるように、テレビは消して室内の環境も整えておきましょう。
食事介助の手順としては、まず食事前にお茶や水で水分補給をしてもらいます。口の中に潤いがあると、唾液が少ない人でも嚥下がスムーズになります。食事は水分の多いものから口に運ぶようにします。スープやお粥などは胃液の分泌を活発にするので、食事をしやすくする働きがあります。
メニューは主食・副食・水分を交互に与え、やけどしない程度の温度が理想的。1回あたりの食べものの量や大きさにも注意しましょう。乾燥しやすいものや硬めの食べものは、水分で口の中を潤してから小さいサイズにして口に入れるようにします。スプーンは下から差し出すようにして入れ、口の奥まで入れるとむせてしまうので、食事をとりやすい距離感も意識しましょう。
必ず1回ごとに口に入れたものが飲み込めたか確認しながら、次の食事を口に入れましょう。咳が出ているときは収まるのを待ってから食事を再開し、高齢者のペースに合わせるように心掛けます。食事が終わったら、食べた量をチェックしてから後片付けを行ってください。
高齢者は消化に時間がかかるので、食べたものが逆流しやすくなっています。食後すぐに横になるのは避け、少しの時間、食事のときと同じ姿勢で休んでから歯みがきを行い、口の中を清潔にしてから休んでもらいます。
高齢者にとって、食事の時間は楽しみの一つ。しかし介助の方法によっては誤嚥や逆流に繋がる危険なものとなってしまいます。食事を楽しんでもらうためにも、清潔で正しい姿勢を取り、高齢者のペースに合わせた食事習慣を心掛ける必要があります。栄養バランスに配慮された食事をとれば、高齢者の心身も整い生きる活力に繋がって、前向きな気持ちが生まれるはずです。
高齢者の食事介助は、自立の有無・場所・献立によって介助の仕方が異なるため、介助する方の健康状態や献立の内容を事前にチェックしておく必要があります。どのようなときでも楽しく味わって食べてもらえるように、上記を参考に正しい食事介助の方法を身につけていきましょう。