訪問介護(ホームヘルプ)はどんな業務なの?介護職への転職における疑問を解決
2021-10-21 21:08:52
2022-01-24 13:20:17
ホームヘルパー(訪問介護員)として働いている人の中には、「これってホームヘルパーの仕事なの?」「範囲外の仕事を頼まれたけど断りにくい」という悩みを持ったことがある人もいるでしょう。
ホームヘルパーの仕事は、利用者の日常生活をサポートすることで、仕事の幅が広いのが特徴です。仕事をしている中で、利用者やその家族から仕事の範囲外のことを頼まれると、断りづらいのも事実です。
この記事では、しっかりと業務の範囲を線引きできるよう、ホームヘルパーの仕事内容やホームヘルパーができることとできないこと、家事代行との違いなどを紹介します。
ホームヘルパーの仕事内容は、大きく分けて「身体介護」「生活援助」「通院介助」の3つに分けられています。
それぞれの仕事内容や範囲を理解しておくことで、依頼された際に、引き受けるか否かの判断がしやすくなるでしょう。
「身体介護」「生活援助」「通院介助」それぞれの仕事内容とその範囲を解説します。
ホームヘルパーが提供できる身体介護の内容は、食事介助や排泄介助、入浴介助、体位交換、起床介助、服薬介助などです。
身体介護は、利用者の体に触れ、日常生活に欠かせない動作をサポートする専門的な仕事です。ホームヘルパーが身体介護を提供するためには、介護職員初任者研修以上の資格を取得する必要があります。
生活における動作をサポートする身体介護ですが、提供できないサービスもあります。
例えば、ケアプランに記載のない散髪をしたり、利用者やホームヘルパー本人の車を運転して病院の送迎をしたりすることはできません。散髪はケアプランに書かれている場合にのみ行い、利用者の送迎をする際は、施設の公用車を使いましょう。
生活援助は、利用者が家で快適に過ごせるように、家事などを提供するサービスです。
ホームヘルパーが提供する生活援助の内容は、利用者本人の食事の準備や片付け、洗濯、部屋の掃除、買い物代行などです。
ホームヘルパーを利用している人の中には、病気や障がいによって自分の意思で体を動かせない人もいます。食事の準備や掃除などは、利用者にとって体への負担が大きいため、ホームヘルパーのサポートが必要です。
ただし、生活のすべてをサポートするのではなく、利用者の残存能力を活かしながらサポートすることが大切です。例えば、ホームヘルパーが食事を用意するけれど、使ったお皿は利用者が洗うなどです。
生活援助において注意が必要なのが、利用者の家族を対象にしたサービスを提供することです。
利用者や利用者の家族から、利用者が直接使う部屋以外の掃除や利用者の家族の洗濯などを頼まれることがあるかもしれません。
しかし、いくら関係性ができていようとも、利用者本人の生活に関与しない部屋の掃除や洗濯などは仕事の範囲外です。また、家族が同居している場合、生活援助を提供することはできません。
ホームヘルパーに認められた生活援助の範囲内で、利用者が快適に生活できるように援助を行いながら、利用者が残存能力を発揮できるような支援をしましょう。
通院介助もホームヘルパーの仕事です。
通院介助では、病院などの医療機関に通院するときの送迎や付き添いを行います。
通院介助の範囲は病院までの送迎や付き添いで、病院に到着した後は医師や看護師に任せます。病院へ到着し受診の手続きまでが、ホームヘルパーの仕事です。
また、徒歩で移動する場合やバスやタクシーなどの公共交通機関を利用する場合は、身体介護(通院・外出介助)に分類されます。
診察室まで付き添うことがないよう、仕事の範囲を確認しましょう。
ホームヘルパーができることとは、利用者本人を対象にしたサービスです。
身体介護や生活援助、通院介助など、介護を必要とする高齢者が毎日を快適に過ごせるように、サービスを提供するのがホームヘルパーの役割です。
ホームヘルパーは、利用者の生活をサポートするのが仕事なので、利用者の家族に関係するサービスは提供できません。
例えば、利用者家族の食事の準備や洗濯、ペットの世話、洗車などは、ホームヘルパーの仕事の範囲外です。
長年関わっている利用者や利用者の家族だと、関係性ができているため、仕事の範囲外のことを気軽に頼んでくることもあるようです。また、利用者や利用者の家族の中には、ホームヘルパーの仕事の範囲を知らない人もいます。
一度仕事の範囲外のことをやってしまうと線引きが曖昧になるので、理由を説明するなどしてしっかりと断りましょう。
ホームヘルパーと家事代行の違いは、仕事内容と資格の有無です。
ホームヘルパーになるためには、介護職員初任者研修以上の資格が必要です。介護に関する専門的な知識と技術があるので、一人で利用者宅を訪問し、利用者が生活を送るうえで必要な動作をサポートすることができます。
ホームヘルパーの仕事内容は、利用者を対象にしたものに限られます。利用者に直接的に関係ない部屋の掃除や、家族の食事の準備は仕事の範囲外です。
一方、家事代行のサービスを行うのに、特別な資格は必要ありません。依頼されたことを遂行する能力やスキルさえあれば、誰でもできるのが特徴です。
家事代行の仕事内容は、紹介所を通して依頼主と契約したことで、依頼主の希望によって仕事の内容や範囲は変わります。家事全般が仕事になるので、幅はかなり広くなります。
ホームヘルパーと家事代行は、似て非なるものです。ホームヘルパーは仕事の範囲内で仕事を行うようにしましょう。
仕事の範囲外のことをお願いされたときは、初めからしっかり断ることが大切です。
利用者や利用者の家族の中には、ホームヘルパーを家事代行と同じように認識している人もいます。重要なのは、「断りにくいから範囲外の仕事もやる」という安易な気持ちを持たないことです。
一度仕事の範囲外のことをやると、要求がどんどん増えていくことがあります。
また、ホームヘルパーは一人で仕事をしているわけではありません。利用者宅を何人かのホームヘルパーで担当していることが多いので、一人のホームヘルパーが要求をのんで範囲外の仕事をすると、「あのヘルパーさんはやってくれたのにあなたはやらないの?」などと、トラブルに発展する可能性があります。
チームで仕事をしているという意識を持ち、他のヘルパーのことも考えると、断るのが正しい対応です。
どうしても断れない場合は、ケアマネージャーに連絡して、どんな対応をとればいいか相談しましょう。
ここまで、ホームヘルパーの仕事内容やホームヘルパーにできることとできないこと、家事代行との違いなどを解説しました。
ホームヘルパーの仕事の範囲は、利用者本人に関係する身体介護や生活援助、通院介助に限定され、利用者ごとに用意されたケアプランで明確に決められています。
利用者や利用者の家族から範囲外の仕事を頼まれても対応せず、理由を説明し、断るようにしてください。断るのが苦手な方や対応に困った場合は、ケアマネージャーに相談しましょう。
ホームヘルパーの中には、仕事の範囲が曖昧になっている方もいるかもしれませんが、できることとできないことの範囲を確認し、仕事を行うことが大切です。