訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容と働き方

2020-06-10 16:16:27

高齢の家族が要介護になったとき、さまざまな理由から老人ホームへの入所を行わずに在宅介護を選ぶことがあります。ここでは、在宅介護に欠かせない「訪問介護員(ホームヘルパー)」の仕事内容について解説します。

訪問介護員(ホームヘルパー)とは

訪問介護員とは「ホームヘルパー」または「ヘルパー」と呼ばれ、介護を必要とする利用者の自宅や入所施設を訪問し、身体介助・生活援助・通院介助を行います。ただし、医療行為と日常生活の範疇を超える家事の代行は行うことができません。

身体介助とは利用者の身体に触れて行う介助全般を指します。食事・入浴・排泄・着替えなどが挙げられるほか、寝たきりの方には体位変換も行います。訪問先に複数の利用者がいる場合は、それぞれの利用者の状況に合わせて介助を行います。

生活援助は利用者の日常生活に必要な家事のサポートで、調理・洗濯・掃除・買い物代行などが該当します。日常生活に必要な作業をこなしますが、日常生活の範疇を超える大掃除・来客対応・ペットの世話・農作業の手伝いなどは含まれません。

通院介助は利用者が病院や行政機関を利用する際に付き添うサービスです。車両の乗降介助・歩行介助・受付や会計での手続きのサポートを行います。

ホームヘルパーになるためには研修を受けなければなりません。まずは「介護職員初任者研修」を受け、その後「介護職員実務者研修」へと進むのが基本的な流れです。就職や転職の際、最低限の資格として介護職員初任者研修の修了を条件としている施設もあります。

ホームヘルパーに求められるのは、第一に利用者ごとの状況や健康状態を把握し、柔軟にケアを行うことです。介護を必要としている方には、適切な介護を提供し、安心して生活を維持できるようにサポートをします。介護サービスを利用する施設や、利用者のご家族のリクエストを聞きながら対応する柔軟な対応力も、ヘルパーの重要な役割といえるでしょう。

訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事内容

訪問介護員の主な仕事は、身体介助・生活援助・通院介助の3つです。介護のお仕事を中心とする一方で生活援助や通院介助も行うため、調理や掃除といった基本的な炊事・家事も重要な業務となります。

訪問介護員は訪問先の利用者ごとに身体介助・生活援助・通院介助の3つを組み合わせたり、利用者の身体状況によって業務を提供し分ける必要があります。たとえば、住宅型有料老人ホームでの業務では介護サービスの利用者Aさんが服薬中の際はそばで見守り、Bさんの場合は服薬の準備から後片付けまでを一貫して手伝うといった臨機応変な対応が求められます。

訪問介護員(ホームヘルパー)の仕事の流れと働き方

日勤の事業所では朝の8時~18時のあいだで業務をこなすのが一般的です。一部、18時以降の対応や24時間巡回対応を行っている事業所では夜勤のお仕事もあり、介護士は事業所に待機して連絡が入るのを待ち、連絡があった場合のみ介護に向かいます。

訪問介護員の1日は事業所への出勤から始まります。まずは、その日の訪問先への準備を行い、利用者が「一部介助」か「全介助」かを把握して、訪問先ごとの業務内容をしっかりと確認しておきます。事業所から1件目に移動し到着したら、決められた時間内でサービスを提供します。次に2件目で業務を行い、午前中の業務が終わると昼食休憩に入ります。午後からは3件目、4件目とこなし、事業所に戻って報告書の作成や情報の共有などをして帰宅します。

一度事業所に立ち寄ってから利用者宅で訪問介護を行い、そのまま直接自宅に帰社するケースもあります。

訪問先はさまざまです。特別養護老人ホームでは医療従事者と連携をとりながら業務をこなすことが多いです。有料老人ホームは、各施設によって業務が異なります。介護サービス付き高齢者住宅は民間企業が運営するバリアフリー対応の賃貸住宅で、訪問介護員が決められたスケジュールで訪問し、ケアを行います。

訪問介護員(ホームヘルパー)にはどんな人が向いている?

訪問介護員に向いているのは、介護サービス利用者と親しく関わりながらアットホームな関係を構築できる人です。コミュニケーションを大事にしていきたい人にとって大きなやりがいが感じられるでしょう。

また、特定の施設で働くよりもいろいろな場所へ訪問することが好きな方にも向いています。正社員以外にパートタイム勤務や登録ヘルパーとして働くことも可能なので、生活に合わせた働き方を考えている人にも適しています。

 

訪問介護員は在宅または介護サービスを利用している老人ホームなどの施設で介護を提供するお仕事です。パートタイムの業務が可能で日常的な家事業務もこなすため、介護以外のスキルアップも期待できます。介護に関する基礎的な能力以外にコミュニケーション能力も磨かれるお仕事なので、自分にあっているかもしれないと感じたら、ぜひ目指してみてはいかがでしょうか。コロナウィルスの影響で働き方に大きな変化が訪れていますが、介護業界はこれから需要が伸びていく業界です。ぜひご検討ください。