サービス付き高齢者向け住宅の仕事内容と働き方

2020-06-03 15:30:40

介護士が活躍する職場のひとつである「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住/サ付き)」は、民間が運営する高齢者専用賃貸住宅です。超高齢化社会の到来により、今後も需要が高まると考えられています。今回はサービス付き高齢者向け住宅における介護職の仕事内容について解説します。

サービス付き高齢者向け住宅とは

サービス付き高齢者向け住宅とは2011年に創設され普及した、民間の事業者が運営する高齢者向けバリアフリー対応賃貸住宅のことです。介護認定の区分が「自立」「要支援」「要介護」の高齢者を受け入れており、要介護高齢者が多い有料老人ホームよりも幅広い受け入れ体制を整えています。60歳以上の高齢者だけではなく要介護状態となった60歳未満の方も対象となり、一般的な賃貸住宅のように契約更新の必要や、高齢を理由とした入居拒否の心配がありません。

日常的に介護が必要な方に対しては外部から訪問介護サービスが受けられるほか、厚生労働省から「特定施設」の指定を受けている住宅では建物内に介護スタッフが常駐しているので、直接介護サービスや生活支援を受けることができます。民間が運営する住宅であるため、施設ごとにサービス内容が異なることも特徴のひとつです。コンシェルジュが勤務している住宅もあります。

サービス付き高齢者向け住宅の仕事内容

サービス付き高齢者向け住宅では「安否確認」と「生活相談」の2つが主な業務です。「自立」など介護認定の程度が軽い入居者はほとんどの行動を自分一人で行えるため、スタッフは身体介護ではなく日常生活の見守りや手伝いを基本業務とします。要介護者には通常の介護や介助を行いますが、郵便物の受け取り・来客対応・買い物代行といった日常業務も多いため、介護業務と日常業務が並行して行われます。

サービス付き高齢者向け住宅の一日の仕事の流れ

サービス付き高齢者向け住宅の一日は共通のスケジュールに沿うかたちでさまざまなメニューが組まれており、7時が起床時間となることが多いです。スタッフは廊下で入居者と挨拶をかわしながら体調やメンタル面のチェックを実施し、天気の良い日には朝食の時間まで散歩に付き添います。

8時から始まる朝食の準備も並行し、配膳・後片付けを行いながら誤嚥(ごえん)が起きないように見守ります。午前中は建物内の清掃や洗濯、来客対応などの日常業務を行いながら居室を訪問して声掛けをしたり、朝の健康体操、外出する利用者の見送りなどを行ったりします。

12時になると昼食の準備・配膳・見守り・後片付けを行います。午後は利用者の生活相談を受け、必要に応じて医療機関や介護サービスにかかれるよう案内をします。午後から外出する利用者には見守りや見送りを行い、夕方までにレクリエーションも実施。体操やゲームなどのイベントを行って、利用者同士の親睦を深めます。

18時前に夕食の準備・配膳をしてから、夕食の時間帯は見守りを、食事がすむと後片付けを行います。

20時ごろ~就寝時間の21時前までの時間帯は随時入居者の出迎えや共有スペースでのお茶出しを行い、就寝前の時間も有効活用できるようにサポートし、就寝時間を迎えます。

夜勤がある場合は21時以降定期的に居室の前を見回り、記録の記入や緊急コールに対応します。

サービス付き高齢者向け住宅の介護職に求められるスキル

サービス付き高齢者向け住宅には「一般型」と「介護型」の2種類があり、介護型の住宅では介護士が要介護者などの高齢者に食事・入浴・排泄といった基本的な身体介護を行います。一人ひとりが安全に暮らせるように体調に気を配り、日常的な見守りや声かけも実施します。自宅と変わりなく過ごしてもらうため、介護士には細やかな気配りとケアが求められます。訪問介護形式でサービス付き高齢者向け住宅に勤務する場合は要介護者への介護のみが主要な業務となり、見守りや見回りの必要はありません。

サービス付き高齢者向け住宅で介護スタッフとして働く場合、最低でも「介護職員初任者研修」の資格を求められるケースが多いです。フロント業務(コンシェルジュ)のように直接介護を行わない仕事もありますが、介護スタッフをサポートするという意味で、介護士資格や介護施設での勤務経験をもっている人材が採用されやすい傾向にあります。

サービス付き高齢者向け住宅で働くにはどんな人が向いている?

サービス付き高齢者向け住宅には、要介護レベルに達していない元気な高齢者も数多く入居しています。よりアットホームな環境であることも多く、入居者と顔見知りになり身内のような感覚で接することができるので、高齢者と接したり話したりするのが好きな方や生活援助に興味関心の高い方に向いています。

 

サービス付き高齢者向け住宅では、元気な高齢者と接する機会が多くあります。コミュニケーションがとりやすく、楽しくスキルアップができる点が魅力的です。また、民間企業が次々に参入していることから職場の数も多く、就職や転職もしやすいというメリットがあります。未経験可の職場もありますので、ぜひ介護士や介護サービスに興味がある方はサービス付き高齢者向け住宅のお仕事を検討してみてください。