介護福祉士としてキャリアアップする方法とルート

2020-04-14 16:01:39

「介護福祉士」は介護業界における唯一の国家資格です。しかし、介護福祉士を取得して介護職員として働くことがゴールになるとは限りません。資格取得後、次のキャリアアップを目指すとすれば、どのような方法とルートがあるのでしょうか。介護福祉士のキャリアアップについて解説します。

介護福祉士としてどうキャリアアップを目指す?

「キャリア段位制度」をご存知でしょうか?正式名称は「介護プロフェッショナルキャリア段位制度」といい、介護分野における人材育成・定着促進を目指して2012年から導入された日本(内閣府で創設)の職業能力認定制度の一つです。

キャリア段位制度が定める段位はレベル1からレベル7までありますが、現在はレベル4までで基準が作られ、運用されています。

この中で、レベル4は「一人前の仕事ができることに加え、チーム内でリーダーシップを発揮できる段階」で、介護プロフェッショナルとしては「チーム内でのリーダーシップ(例:サービス提供責任者・主任等)、部下に対する指示・指導」を行う者が該当するとされています。そしてレベル4の要件として、「介護福祉士であること」が挙げられています。

つまり、介護福祉士の資格を取得しているレベルの人は、一人前の仕事ができてチーム内のリーダーシップを発揮する人である、とされているわけです。

さて、問題は現在このレベルにある人が、この先どこを目指すかです。介護プロフェッショナルではレベル5とレベル6共通の説明として「多様な生活障害をもつ利用者に質の高い介護を実践、介護技術の指導や職種間連携のキーパーソンとなり、チームケアの質を改善」と述べられています。やや抽象的な表現ですが、ここから先は多様なニーズへの対応、質の高い介護の実践、チームケアの質向上が重要とされていることがわかります。

これはあくまで一つの指針です。しかしこのことを念頭に置いて、現在、介護福祉士の資格を持っている人が次のステップアップ、キャリアアップを考えるのは大いに意義のあることでしょう。そのことが自身の仕事へのモチベーションを高め、やりがいや充足感の獲得にもつながります。以下で、具体的なキャリアアップの方法やルートを見ていきましょう。

新たな資格取得でキャリアアップを目指す

介護福祉士を取得している人が次に取得したい資格を3つ挙げてみます。これらの資格を取得することで、新たな活躍場所が開けるでしょう。

認定介護福祉士

介護福祉士の上位資格として設定されている民間資格です。医療など介護福祉士資格にない新たな知識、介護職の小チームのリーダーとして必要な知識や実践力などが問われる試験が行われます。

認定介護福祉士は2015年から始まった新しい資格ですが、資格取得者が施設・事業所のサービスマネージャー、介護サービス提供における連携の中核的役割、地域における介護力向上のための役割などを果たすことが期待されています。

ケアマネジャー

ケアマネジャー(介護支援専門員)は、介護や支援を必要とする人の相談や心身の状況に応じて、介護サービスなどの提供についての計画(ケアプラン)の作成や、市町村・サービス事業・施設、家族などとの連絡調整を行う専門職に就くために必要な公的資格です。

訪問介護や養護施設で需要が高く、ケアマネジャーは福祉関係の仕事の中でも人気職種として知られています。

社会福祉士

ソーシャルワーカー、生活相談員などと呼ばれる福祉・医療に関する相談援助の専門家のための国家資格です。有資格者は介護や医療、福祉など多彩なジャンルの施設や機関で活躍でき、個人で相談援助事業所を構えて独立することも可能です。

現場でキャリアアップを目指す

施設内でリーダーや施設の責任者を目指す方法もあります。とくに注目したい職種を2つ挙げます。

サービス提供責任者

訪問介護事業所に勤務し、訪問介護サービスを計画・運営します。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき、サービスが適切に提供されるようコーディネートするのが役割です。また訪問介護員の指導や育成、管理にもあたります。なお、介護福祉士を取得していることがサービス提供責任者になる要件の一つとなっています。

施設責任者

介護施設の管理・運営を行う責任者です。人員、予算、サービス、コンプライアンス、建物や設備などすべてのマネジメントを担当します。施設長の資格要件には、社会福祉士の資格を取得していることが含まれています。

特別養護老人ホームの施設長の要件だと社会福祉主事の要件を満たす者、老健・GH等施設によって要件はさまざまのようです。

他の職種でキャリアアップを目指す

介護とは異なる職種でキャリアアップしていくことも可能です。

看護師

介護福祉士として働いているうちに看護や医療行為に興味を持ち始め、看護師の資格を取って新たに仕事を始めるという人もいます。介護福祉士と看護師は担当分野が異なりますが、両方の資格を持っていれば仕事内容も活躍の場も広がります。

厚生労働省は医療福祉系の専門資格における共通基礎課程の創設を検討しており、今後、介護福祉士の資格を持っていれば、現状より約1年短いカリキュラムで看護師の資格を取得できるようになる可能性があります。

リハビリ職(作業療法士・理学療法士・言語聴覚士)

作業療法士・理学療法士・言語聴覚士などのリハビリ職へのキャリアアップ、もしくは転身を果たす方法もあります。どの仕事もそれぞれ新たな資格取得が必要ですが、医学や身体、リハビリテーションに関して興味があるという人にとっては魅力的な職業です。

介護施設の中には介護福祉士と作業療法士や理学療法士、言語聴覚士が在籍している施設も多くあります。介護福祉士との距離はそれほど遠く離れているわけではないと言えるでしょう。

介護福祉士の資格を取得すると、そこから先の新たな選択肢が数多く見えてきます。上記を参考に介護福祉士として次のキャリアアップを目指してみてはいかがでしょうか。