資格取得前に知っておきたい介護福祉士のリアルと職場選びのコツ

2022-02-16 17:07:25

キャリアアップのために、介護福祉士の取得を目指している方もいるでしょう。

2021年第33回介護福祉士試験の受験者数は、84,483人でした。そして、受験者の約7割にあたる59,975人が介護福祉士を取得しています。

このように介護福祉士の資格を取得した方の中にも、資格を取ってキャリアアップしたいと思っていた方は大勢いたことでしょう。

しかし、その方たちが見事に目的を果たしたかといえば、そうとは限らないようです。

介護福祉士の資格を取得しても、期待したほど給料が増えなかったり、仕事内容が合わなかったりと不満を持つ方もいます。

そこで今回は、介護福祉士の仕事内容やよくある不満、さらには転職先選びのコツを紹介します。

参考)2021年 厚生労働省「第33回介護福祉士国家試験合格発表」

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_17324.html

 

 

介護福祉士とは

介護福祉士は、介護に関する専門的な知識や技術があることを証明できる資格です。複数ある介護職の資格の中で、唯一の国家資格です。

ここからは、介護福祉士の実情について紹介します。

 

資格取得後の仕事内容

介護福祉士の資格を取得すると、仕事内容はどのように変化するのでしょう。

先に紹介したように、介護福祉士の資格を取得することで、介護についての知識や技術が一定のレベル以上と判断されます。そのため、リーダーや新人教育の担当などの業務を任せられることもあるようです。

このように、ステップアップした仕事内容を任せられることもあります。

しかし、介護職の主な仕事内容は、利用者に介護サービスを提供することで、介護福祉士を取得しても、それは変わりません。

そのため、取得前後で大きく仕事内容が変わることはないようです。

 

介護福祉士の受験ルート

次に、介護福祉士の受験ルートについて説明します。

介護福祉士の受験ルートは、主に以下の3つです。

 

■実務経験ルート

介護施設などで働きながら、介護福祉士の受験資格取得を目指す受験ルートです。受験資格に必要なのは「3年以上の実務経験」と「介護福祉士実務者研修の修了」です。この2つの両方を満たすと受験資格を得られます。

 

■養成施設ルート

介護福祉士養成施設において、定められたカリキュラムを修了し、卒業した方が対象となる受験ルートです。

 

■福祉系高校ルート

福祉系高校を卒業した方が対象の受験ルートです。福祉系高校において指定された科目・単位数を修了し卒業する必要があります。

 

介護福祉士の資格を取得する3つのメリット

最後に、介護福祉士の資格を取得するメリットを紹介します。

メリットは、主に以下の3つです。

 

■給料が増える

介護福祉士の資格を取得すると、給料が増えることもあります。多くの施設では、介護福祉士の資格手当が支給されているため、資格を取得すると給料が増える傾向にあります。

 

■キャリアの選択肢が広がる

介護福祉士の資格を取得することで、キャリアの選択肢が広がります。例えば、介護福祉士の資格はケアマネジャーや認定介護福祉士の取得に役立ちます。

 

■転職の際に役立つ

介護福祉士は、介護に関する知識や技術があると認識されるため、転職に有利です。多くの介護施設では、無資格者・介護職員初任者研修よりも介護福祉士を優遇するでしょう。

 

 

介護福祉士の手当や待遇

介護福祉士の手当や待遇について紹介します。

まず、介護福祉士の取得後にもらえる手当といえば、資格手当でしょう。

2020年の調査では、介護福祉士の資格手当がある施設の割合は62.9%で、平均額は月9,055円でした。

給料に反映される施設がある一方で、資格手当がない割合は34.0%もあります。

このように、資格手当がなかったり、資格手当が低く設定されていたりする施設も多くあります。このような施設に勤務している方はモチベーションを維持することが難しいかもしれません。

参考)2020年 公益財団法人社会福祉振興・試験センター「介護福祉士就労状況調査」

http://www.sssc.or.jp/

介護福祉士にまつわる待遇については処遇改善手当が該当します。

処遇改善手当は、介護職が働きやすい労働環境の整備や賃金改善のために国から支給される手当です。

この処遇改善手当を受け取るためには、職場が「キャリアパス要件」「職場環境等要件」を満たしている必要があります。

つまり、介護施設全体で職場環境の整備やキャリアパスに取り組まなければなりません。もし、取り組んでいない介護施設であれば、最大月37,000円の手当がもらえないだけではなく、職場環境の整備にも力を注いでいないことになります。

 

 

介護福祉士によくある5つの不満

介護福祉士を取得しても、残念ながら不満を抱えている方もいます。

そこで、介護福祉士によくある不満を5つ紹介します。

 

年収が低い

1つ目の不満は、収入が低いことです。

せっかく国家資格である介護福祉士の資格を取得したのに、給料が変わらず不満を抱えている方もいます。

勤務する施設によっては資格手当がなく、給料が増えないことも理由の一つです。約34%もの介護施設では、資格手当がありません。

このような施設で勤務している方は、年収を上げるために、資格手当や待遇の良い施設への転職を検討しても良いかもしれませんね。

 

職場の人間関係が良くない

2つ目のよくある不満は、職場の人間関係が良くないことです。

介護福祉士となると、リーダーや新人教育に携わる機会が増えることでしょう。

そのため、今までとは違う立場で他職員と接することも増えてくるため、ますます人間関係が難しくなります。ときには、年上の新人の教育をしなければならないこともあるでしょう。

このような場合に、職場の人間関係が良くないと不満がたまりやすくなります。

 

労働環境が悪い

労働環境が悪いことも、介護福祉士によくある不満の一つです。

例えば以下のような悩みが挙げられます。

・人員不足のため、希望した日に休めない

・残業をしなければならない日が多い

・夜勤の回数が増えてきた

介護業界は慢性的な人員不足が続いています。そのため、このような人員不足によっておこる労働環境の悪さは、不満の原因となります。

 

仕事内容が合わない

仕事内容が合わないと感じている方もいるようです。

介護福祉士として仕事をしていても、得意・不得意はあります。例えば、「レクリエーションがしんどい」「認知症の利用者とのコミュニケーションがきつい」と感じる職員もいます。

このように、勤務する施設に苦手なことがあると、仕事内容が合わないと感じるのです。

 

職場の方針と合わない

職場の方針と合わないことも、不満のタネになります。

職場の方針は、その施設の運営の根幹です。この方針をもとにして、どのような介護サービスを提供するか決定していることでしょう。

しかし、自分の介護に対する信条と大きな開きがある場合は、決定に納得ができないことも増えるかもしれません。そのようなことが続くと、不満を感じる原因となります。

 

 

介護福祉士の職場選びのポイント

ここまで説明してきたように、介護福祉士にも不満はあります。それを原因に、辞めたいと感じる方がいるのも実情です。

そこで、就職・転職時に役立つ職場選びのポイントを以下に紹介します。

・給料・資格手当・待遇

・仕事内容

・人員の配置

・労働環境

・経営理念・介護方針 等

せっかく介護福祉士の資格を取得していても、給料が低いままではモチベーションを維持するのは難しいでしょう。

そこで、就職や転職時には給料や資格手当、処遇改善手当が支給される施設を選ぶことをおすすめします。また、苦手な仕事内容が少ない介護施設であれば不満を減らせるため、長く働くのに役立つはずです。

働く場所を選ぶ際には、自分が職場に望む条件を明確にしてミスマッチを防ぎましょう。

 

 

まとめ

介護福祉士の取得を目指している方には、キャリアアップや年収アップを目的としている方もいるでしょう。

しかし、介護福祉士を取得しても年収の低さに不満を持っている方もいます。介護施設によって資格手当がないと、そのような不満を感じやすいでしょう。処遇改善手当もない施設もあるので注意が必要です。

もし、このような施設で勤務しているのであれば、年収をアップさせるために、資格手当や処遇改善手当が支給される介護施設への転職を検討しても良いかもしれませんね。