介護職の給料は今後どうなる? 特定処遇改善加算の状況とは
2021-03-10 01:50:00
2021-09-17 09:08:00
介護を必要とされる方やご家族と、介護サービスを提供する福祉事業所との橋渡しに欠かせないのがケアマネージャーです。高齢化社会がますます進む日本において、今後も需要が多い仕事といえるでしょう。
ケアマネージャーの仕事には専門的な知識や経験が求められます。そのため、円滑に業務を行うためには適切な研修を受講し、ケアマネジメント能力のスキルアップを図ることがオススメです。
そこで今回は、初級者向けの研修から上級者向けの研修まで、ケアマネージャーのレベルに合わせたスキルアップ方法について解説します。
ケアマネージャーは、介護保険のスペシャリストといっても過言ではなく、居宅介護支援事業所や、特別養護老人ホーム、地域包括支援センターなどが主な仕事場となります。
では、スペシャリストといっても、ケアマネージャーの業務はどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、ケアマネージャーの主な仕事内容をご紹介します。
まず1つめの主な仕事は、ケアプランの作成です。
介護を必要としている方が、福祉事業所より介護保険サービスを受けるためには必要なことがあります。まず必要なことは、利用を希望する方が要介護認定を受けて、要介護または要支援と認定されることです。
次に必要なことは、提供されるサービスについての詳細な計画です。利用者に対して、どの福祉事業所がどのようなサービスを提供するのかを計画する必要があります。
この計画のことをケアプランと呼び、ケアプランに沿って介護サービスが展開されます。ケアプランの役割は、利用者本人やご家族の希望や要望に沿ったサービスを提供することです。
利用者にとって必要な介護保険サービスを見極めるためにも、ケアマネージャーは利用者やご家族と面談をします。その面談内容や、利用者の実情を踏まえてケアプランを作成することがケアマネージャーの大切な仕事です。
次に2つめの主な仕事は、利用者と介護サービス提供事業者との仲介役です。
ケアマネージャーは、ケアプランを作成して終わりではありません。利用者にとってより質の高いサービス提供を行えるように、利用者や事業所と下記の項目についてこまめに連絡を取り合う必要があります。
・ケアプランに沿った介護サービスを提供できているか
・利用者と事業所間でトラブルはないか
・利用状況についての把握
・利用者に不満や苦情はないか
・利用者に新たな問題点はないか
このようにケアマネージャーは、利用者と事業所、双方の話を聞き、問題解決に向けた仲介役を求められます。また、双方と話し合いを行いながら、適宜ケアプランの修正を行う必要もあります。
次に3つめの主な仕事は、要介護認定とその代行申請にかかわることです。
介護を必要としている利用者が、介護保険サービスを受けるためには要介護認定を受けなければなりません。
要介護認定は、市区町村によって認定調査を実施します。この認定調査では市区町村から派遣された介護認定調査員が、利用者本人や介護者などへ訪問調査を行います。
訪問調査の目的は利用者の心身の状況や環境、介護者への負担などについて情報を収集することです。収集した情報と医師の意見書をもとに介護認定審査会は、要介護認定の審査判定を行います。その結果、利用者が要介護認定を受けられるか決定します。
要介護認定にかかわることで、ケアマネージャーを必要とするのは、利用者が要介護認定の申請ができない場合です。その際には、利用者に代わってケアマネージャーが申請を代行します。また、ケアマネージャーは市区町村より介護認定調査員として、認定調査を委託されることもあります。
※介護認定調査員は主として、市区町村の職員もしくは事業受託をした法人職員の介護支援専門員です。
ケアマネージャーにとって、利用者が介護保険サービスを利用することで発生する介護給付費の管理も大切な仕事です。
給付管理では、介護サービスがどのように利用者に提供されているか実態の把握が必要です。また、サービスを提供した事業所にはきちんと介護給付が支払われるように、国民健康保険団体連合会に必要書類を提出します。
ケアマネージャーになるためには、勤務先の都道府県で介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、さらに実務研修を修了することが必要です。ここまでに、ケアマネージャーとして必要な多くの知識を学びます。
そしてケアマネージャーから、さらなるスキルアップを図りたい方には、上位資格である主任ケアマネージャーの取得がオススメです。ここからは主任ケアマネージャーになるための、専門研修Ⅰ、専門研修Ⅱ、主任介護支援専門員研修について解説します。
スキルアップをするための研修の1つめは、専門研修Ⅰです。
専門研修Ⅰを受講できる対象は、ケアマネージャーとして実務に従事しており、就業後6か月以上の方となります。つまりは、初級者から中級者に向けた研修です。
専門研修Ⅰの目的は、現認のケアマネージャーに対して、実務経験をもとに必要に応じた専門知識や、技能を修得することにあります。
次にスキルアップをするための研修は、専門研修Ⅱです。
専門研修Ⅱを受講するには、専門研修Ⅰの修了が必要です。また、ケアマネージャーとして実務に従事しており、修業後3年以上の方を対象としています。つまりは、中級者以上を対象とした研修です。
専門研修Ⅱの内容と目的は、演習が主な研修内容となり、持ち寄った個別事例にもとづいて、ほかの事例にも対応できる能力修得をめざします。また、地域の課題をとらえ、多職種の連携や社会資源の働きかけへと展開する方法の修得にも重点が置かれています。
参考)2016年 厚生労働省「介護支援専門員専門研修ガイドライン」
最後に主任ケアマネージャーとなるための主任介護支援専門員研修です。
主任介護支援専門員研修は、先に述べた専門研修Ⅰ、および専門研修Ⅱ、または介護支援専門員更新研修の修了が受講要件となります。これらを満たし、以下のいずれかに該当することが必要です。
1.専任のケアマネージャーとして実務経験が通算して5年以上の方は受講資格が認められます。
2.マネジメントリーダー養成研修を修了した方、または認定ケアマネージャーの方については実務経験が3年以上で受講資格が認められます。
3.地域包括支援センターに配置されており、主任ケアマネージャーに準ずると認められる方です。
4.ケアマネージャーの業務に関し十分な知識と経験があり、都道府県が適当と認める方には受講資格が認定されます。
※各都道府県において、受講要件の設定が認められています。そのため、都道府県により受講要件が若干異なりますので、詳細については勤務地の要綱をご確認ください。
参考)2016年 厚生労働省「主任介護支援専門員研修ガイドライン」
ここまで、説明してきたように主任介護専門員研修を修了すると、修了日より主任ケアマネージャーとなります。では、主任ケアマネージャーはどのような仕事内容なのでしょうか。
ここからは、主任ケアマネージャーの仕事内容について解説します。
主任ケアマネージャーになると、今までのケアマネジメント業務に加えて、他のケアマネージャーへの助言や指導といったケアマネジメントリーダーとしての役割があります。
また、地域包括ケアシステムを構築するための地域交流や、事例検討会の開催など地域と密接にかかわることになります。そこで、地域のケアマネージャーのスキルアップや交流を果たすことも大事な役割です。
居宅介護支援事業所では管理者に主任ケアマネージャーの資格を有することが義務付けられています。そのため取得後は、管理者候補として事業所の運営にも携わる場面が多くなるでしょう。※2027年まで経過措置が延長されており、2027年4月1日から管理者として必須となります。
参考)2019年 厚生労働省「居宅介護支援の管理者要件に係る経過措置及び地域区分について」
以前はケアマネジメントリーダーを育成するために、ケアマネジメントリーダー養成研修がありました。しかし、主任介護支援専門員研修の登場によって養成研修は行われていません。そのため、主任ケアマネージャーはケアマネジメントリーダーとしての役割もあります。
それはスーパーバイザーと呼ばれる指導的な役割です。スーパーバイザーは後輩など他のケアマネージャー(スーパーバイジー)に対して指導や支援、助言を行います。これをスーパービジョンと呼び、新人育成や事業所全体のスキルアップにつながります。
ケアマネージャーの資格を取得してからも、スキルアップするために必要な研修はいくつもあります。それは、ケアマネージャーの仕事の重要性が高く、専門的な知識、技術を要求される場面が多いからです。
初級者向けに専門研修Ⅰ、中級者向けに専門研修Ⅱ、上級者向けに主任介護専門員研修といったように、それぞれのスキルにあった研修が用意されています。ケアマネージャーとして業務を円滑に行うためにも、このような研修を積極的に活用し自己研鑽に励むことでケアマネジメント能力がスキルアップします。
主任ケアマネージャーの資格を取得すると、事業所内において他のケアマネージャーを指導、助言する立場です。スーパーバイザーとして、施設全体のスキルアップが求められます。また、地域においても事例検討会といった交流や、活動の場所が広がっていくでしょう。
さらに、居宅介護支援事業所において、管理者は主任ケアマネージャーの資格が必要となります。そのため、資格取得者は管理者候補者として施設運営者からも期待されることが増えていくでしょう。