介護職に復職で最大40万円!再就職準備金の解説&変わりゆく介護業界

2021-05-13 13:30:08

厚生労働省の「介護分野の現状等について」調査によると、常勤の介護職における離職率は最新のデータで16.2%でした。他業種の平均が14.9%と大きな開きはないものの、やや高い水準となっています。

介護職としての知識や経験があるにも関わらず、他業種で働いており、再び介護の仕事に就くことをサポートする制度があります。それが「再就職準備金」です。

最大40万円の貸付を受けることができ、2年間の介護職員の業務に従事することにより、返還が全額免除されます。

今回は「再就職準備金」について詳しく解説するとともに、復職することにはどんなハードルがあるのか?それを解消するためにはどんな対処法があるのかをご紹介します。

介護職の再就職準備金とは?

再就職準備金とは、既に介護職で働いた経験を持ち、現在は離職状態か他業種で働いている方へ、介護職へのUターンを支援する制度です。

貸付金額はご自身で決めることができ、通勤で必要な自転車やバイク、かばんや靴などから、復職に伴う転居に必要な敷金礼金など、幅広い用途に使うことができます。

そして、2年間継続して介護職員として働けば返済は免除されます。復職を考える方で、2年以上勤務しようと考える方には知っておいたほうが良い制度です。

どのような方が対象になるのか?

再就職準備金の貸付対象となる基本的な条件は下記に当てはまる方です。

・介護職員の業務に1年以上の実務経験を持つ方

・下記のいずれかの方

 *介護福祉士の資格を持っている方

 *実務者研修施設において実務者研修を修了した方

 *介護職員初任者研修を修了した方

・介護職員等として再就職する日までの間に、あらかじめ都道府県福祉人材センターに氏名及び住所等の届出を行い、かつ、実施主体が定める再就職準備金利用計画書を提出した方

上記の条件を満たすことで、無利子かつ全額返済免除となり、非常勤の方も対象となるため、幅広い方が対象になります。

再就職準備金を申請するには?

では、再就職準備金にはどのような手続きが必要なのでしょうか?

実施主体は、都道府県社会福祉協議会等となり、自治体により、細かいルールが違ってきますので、細かい条件などは各自治体へ確認が必要となります。今回は東京をベースに解説しましょう。

①「離職介護人材としての届け出」が必要

申込みの前に離職中の介護人材の届け出をしておかないと、再就職準備金の申請が出来ません。

再就職準備金は都道府県社会福祉協議会等が実施主体ですので、東京都福祉人材センターへの届け出が必要となります。(各自治体によって届出先が異なりますので、詳しくは下記の一覧をご参照ください)

東京都福祉人材センターのHP、もしくは東京都福祉人材センターの窓口または郵送での届出も可能です。

この届け出は内定した日より前までにおこなう必要がありますので、既に就労先を探している方は早めに届け出を行いましょう。

②連帯保証人が必要

あくまで、この制度は貸付という枠組みになりますので、2年間の勤務後、全額免除が確定するまでは返済の義務があります。ですので、形式上は連帯保証人が必要となります。

連帯保証人としての条件はいくつかあります。

次のいくつかを満たしている

・申込日の属する月の6ヶ月前から継続して都内に住所を有している(住民登録している)者

・4親等以内の血族又は3親等以内の姻族及び配偶者で日本国内に住所を有している者

・次の基準以上の所得(平均月額)を有している者で日本国内に住所を有している者

1人→177,000円/2人→261,000円/3人→319,000円/4人→376,000円/5人→411,000円

②日本国籍を有する者又は永住者の在留資格を有する者若しくは特別永住者等である

③東京都社会福祉協議会が実施する介護福祉士修学資金、社会福祉士修学資金、実務者研修受講資金、離職介護人材再就職準備金の貸付における連帯保証人になっていない。

(無収入の方や、生活保護受給者は保証人になることはできません)

同様の制度で既に連帯保証人になっていない上で、両親や配偶者や家族などに保証人になってもらうのがトラブルなく手続きが進むと思います。

 

また、再就職先(内定含む)の施設に保証人になってもらう方法もあります。2年以上勤務を想定している方は、あくまで形式上の保証人ですが、それまではしっかり返済義務が残りますので、その旨をしっかり理解してもらった上で保証人になってもらいましょう。

③申込書類の提出

・申込書書類

・連帯保証人の書類

・介護職員等の業務の経験が1年以上あることを証明する書類

(実務経験証明書/従事日数内訳書など)

・住民票

を東京都福祉人材センターへ郵送で提出します。

様式の一覧は東京都社会福祉協議会の「離職介護人材再就職準備金 貸付後の申請書・届出の記入例」よりダウンロードすることが可能です。

④再就職の届け出

内定が出たら東京都社会福祉協議会へ再就職届けを提出する必要があります。申込書類と同時に提出することも可能です。

再就職届けを東京都社会福祉協議会への提出が完了すると、毎月20日を期限に、翌月5日までに審査結果が通知されます。

この書類は従事開始後3ヶ月以内に提出が必要なため注意が必要です。

④借用証書等を提出

審査の結果、貸付が決定しましたら貸付決定通知書と借用証明書が送付されます。

送付された借用証明書に、貸付を受け取る借受人と連帯保証人がそれぞれ署名・押印(実印)・印鑑登録証明書を添付し、収入印紙貼り付け提出します。

印鑑登録証明書は、区役所や市役所で申請できるほか、マイナンバーカードをお持ちの方はコンビニのマルチコピー機で取得することも可能です。

印鑑登録の手続き~印鑑登録証明書の発行については各市区町村のホームページや窓口に詳しく記載されています。

借用証書や印鑑登録証明書については、貸付決定の2週間後が提出期限となります。印鑑証明登録書などは、時間がかかる場合もあるので申込み段階で用意しておいても良いかもしれません。

不備がなければ、承認後指定の口座へ振り込みがされます。

⑤各自治体の詳細&連絡先

離職~手続き~内定・承認までは各自治体によって、

申込み書類の様式や手順、細かなルールが異なるため、

申請するには、各地域の社会福祉協議会のHPや窓口に確認してください。

北海道・東北地方

北海道 北海道福祉人材センター

青森県 社会福祉法人青森県社会福祉協議会

岩手県 社会福祉法人岩手県社会福祉協議会

宮城県 社会福祉法人宮城県社会福祉協議会

秋田県 社会福祉法人秋田県社会福祉協議会(秋田県福祉保健人材・研修センター)

山形県 社会福祉法人山形県社会福祉協議会山形県福祉人材センター

福島県 社会福祉法人福島県社会福祉協議会

関東地方

茨城県 社会福祉法人茨城県社会福祉協議会

栃木県 社会福祉法人栃木県社会福祉協議会福祉人材・研修センター

群馬県 社会福祉法人群馬県社会福祉協議会

埼玉県 社会福祉法人埼玉県社会福祉協議会

千葉県 社会福祉法人千葉県社会福祉協議会

東京都 社会福祉法人東京都社会福祉協議会東京都福祉人材センター

神奈川県 社会福祉法人神奈川県社会福祉協議会・かながわ福祉人材センター

甲信越・北陸地方

山梨県 社会福祉法人山梨県社会福祉協議会

長野県 社会福祉法人長野県社会福祉事業団

新潟県 社会福祉法人新潟県社会福祉協議会

富山県 社会福祉法人富山県社会福祉協議会富山県健康・福祉人材センター

石川県 社会福祉法人石川県社会福祉協議会

福井県 社会福祉法人福井県社会福祉協議会

東海地方

愛知県 社会福祉法人愛知県社会福祉協議会愛知県福祉人材センター

静岡県 社会福祉法人静岡県社会福祉協議会

岐阜県 岐阜県社会福祉協議会 岐阜県福祉人材総合支援センター

三重県 社会福祉法人三重県社会福祉協議会 三重県福祉人材センター

関西地方

大阪府 社会福祉法人大阪府社会福祉協議会 大阪福祉人材支援センター

兵庫県 社会福祉法人兵庫県社会福祉協議会 兵庫県福祉人材センター

京都府 社会福祉法人京都府社会福祉協議会  京都府福祉人材・研修センター

滋賀県 社会福祉法人滋賀県社会福祉協議会 介護・福祉人材センター

奈良県 社会福祉法人奈良県社会福祉協議会福祉人材センター

和歌山県 社会福祉法人和歌山県社会福祉協議会

中国地方

鳥取県 社会福祉法人鳥取県社会福祉協議会

島根県 社会福祉法人島根県社会福祉協議会

岡山県 社会福祉法人岡山県社会福祉協議会

広島県 社会福祉法人広島県社会福祉協議会

山口県 社会福祉法人山口県社会福祉協議会福祉人材センター

四国地方

香川県 社会福祉法人香川県社会福祉協議会香川県福祉人材センター

愛媛県 社会福祉法人愛媛県社会福祉協議会

徳島県 社会福祉法人徳島県社会福祉協議会福祉人材センター

高知県 社会福祉法人高知県社会福祉協議会

九州・沖縄地方

福岡県 社会福祉法人福岡県社会福祉協議会

佐賀県 社会福祉法人佐賀県社会福祉協議会福祉人材・研修センター

長崎県 社会福祉法人長崎県社会福祉協議会

熊本県 社会福祉法人熊本県社会福祉協議会熊本県福祉人材・研修センター

大分県 社会福祉法人大分県社会福祉協議会

宮崎県 社会福祉法人宮崎県社会福祉協議会

鹿児島県 社会福祉法人鹿児島県社会福祉協議会

沖縄県 社会福祉法人沖縄県社会福祉協議会福祉人材研修センター

復職はしたいけどネックになっていること

退職当時より、自身の生活環境が変化し、働ける状態に戻ったり、今の仕事よりも、介護職の方が向いていたのではないかと思ったりしている方もいるかもしれません。復職を考えた方がどのような理由で悩んだのか見ていきましょう。

離職期間が長くて知識や技術を忘れてしまっているのではないか?

様々な知識や技量を求められる介護の現場で、即戦力繋がる経験者は是非とも採用したい人材です。しかし、本人の中では「◯年も現場を離れていてもう出来ないと思う」などと考え、なかなか復職に踏み切れない方もいらっしゃると思います。

そんな方を呼び戻そうと、福祉施設協議会などでは知識や技術を再確認するための研修が行われています。

たとえば公益社団法人 全国老人福祉施設協議会では、潜在介護福祉士復職支援プログラムなどが行われています。講義と実習で構成されており、講義は動画講義も選択出来ます。

介護福祉士資格をお持ちで、以前に介護職場で働いていた経験のある方を想定していますが、介護職場で働いていたけれど資格はこれからとる予定という方も対象となります。

どのような作業があったか、どのような知識が必要だったか思い起こすことで、転職活動や従事開始後の安心感に繋がるのではないでしょうか。

ネガティブなイメージが払拭できない

介護事業所における離職の理由として挙げられるのは

①職場の人間関係に不満があった→23.9%

②結婚・出産・妊娠・育児→20.5%

③理念や運営のあり方について不満があった→18.6%

と、直接的に体力面のことを理由したものが上位にあるわけではなく、人間関係や運営面などが上位に上がります。

結婚・出産・妊娠・育児などは各家庭の方針などがあるとは思いますが、人間関係は実際に入ってみないと肌感覚をつかめないところもあります。

ですので、就職活動時の面接時に

・以前働いていた経営理念の不満点があった

・このような上長や同僚がいて辞めた

などは伝えておき、その事業所に向いているかしっかり聞き取りをすることが大切だと思います。

参考:介護職の転職で失敗したくない!気をつけたいポイントまとめ

介護業界の環境改善に向けた取り組み

魅力ある職場づくり

厚生労働省などでは「魅力ある職場づくり」の取り組みが進められています。

各地域により重点を置く項目は違いますが、介護業界の職場環境改善に向けて様々な取り組みが行われています。

公益財団法人介護労働安定センター大分支部では、雇用管理の改善や将来設計に重点を起き、専門のヘルスカウンセラーが事業所に出向き相談に応じたり、事業者向けではありますが、専門の雇用管理コンサルタントが具体的で実践的なお手伝いをしたりしています。

また、従業員の負担軽減のための介護福祉機器(移動、昇降用リフト/特殊浴槽など)の購入に助成金を支給したり、賃金制度の整備(賃金改定)の計画をし、整備を行った場合に助成金を支給したりしています。

このように各地域ごとの離職理由の特性などに合わせて、労働環境や賃金の改善に向けた取り込みが行われています。

「働きやすい事業所」認定制度

厚生労働省は2019年度から、職場環境の改善や人材育成に取り組んでいる介護事業所の認定制度を実施。モデルとなったのは京都府で行われていた「きょうと福祉人材育成認証制度」がベースとなっています。

(画像引用元:京都府健康福祉部地域福祉推進課 京都福祉情報サイト

休暇や労働時間を削減するための仕組み作りを評価することで、働きやすい事業所として認定を受け、職員の退職を防ぐことが主な目的です。

人材育成に取り組むことを意思表明をすることで「宣言事業所」となり、認証取得に向けて支援を無料で受けることが出来ます。

認定基準を満たすことで「認証事業所」となり、安心できる就職先として大学や学生に積極的に広報され、採用活動において、アピールすることが出来るようになるという仕組みです。

つまり、働く側の環境・条件改善の課題解決に向けて積極的そうにゅう、もしくは、優良事業所であるというのがすぐに把握することができ就職活動においての分かりやすい目安になります。

介護業界への復職に関するまとめ

介護業界における人材不足は、厚生労働省や労働局も非常に危惧しており、特に即戦力になる潜在人材においては様々な支援があります。

様々な懸念やネックがあると思いますが、支援制度などを調べたりすることで一歩踏み出すことが出来るかもしれません。

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